研究実績の概要 |
昨年度までに、2名のミトコンドリア病の患者から樹立したiPS細胞のうち、mtDNAのA3243G変異が検出できない細胞クローンと, 高率で変異を有する細胞クローンの両方から骨格筋の誘導を、それぞれ2クローンづつ行うことができた。本年度は、これらミトコンドリア病疾患iPS細胞から誘導した骨格筋細胞において、mtDNA変異の有無によるミトコンドリア機能の差異の解析を行った。 細胞外OCR(酸素消費速度)の測定は、XF24 Extracellular Flux Analyzer(Seahorse Bioscience, Billerica, MA, USA)を用いて,製造元のプロトコルにしたがって測定した.MatrigelでコーティングしたFluxPak-XFe24 アッセイパック(Agilent Technologies, CA,USA)付属の専用プレートにhiPS-MyoD細胞0.3×10^5個になるように播種し、10日間骨格筋誘導を行った。測定前日に、センサーカートリッジをキャリブラントで水和させた。XFミトストレスキット(Agilent Technologies, CA,USA)を用いて2uM Oligomycin,(ATP合成酵素阻害剤) 1.0uM FCCP(脱共役剤), 0.5uM ROT/AA(ミトコンドリア電子伝達系阻害剤)を連続的に添加しOCRを測定した。結果は各ウェルの総細胞数をカウントし標準化した。 細胞外フラックスアナライザーを用いた解析にて、mtDNAのA3243G変異(+)と(-)の骨格筋細胞ではOCR(酸素消費速度)に差異を認め、中でもBasal OCR, ATP productionなどに差異を認めている。現在、上記の解析のnの数を増やし、統計的な解析を行っている。
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