研究課題/領域番号 |
21K08589
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
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研究分担者 |
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
武友 保憲 近畿大学, 医学部, 講師 (20580591)
廣峰 義久 近畿大学, 医学部, 講師 (30460851)
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 准教授 (90460849)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 1型糖尿病 バイオマーカー / 遺伝子 / ゲノムワイド関連解析 / バイオマーカー / メタボローム |
研究実績の概要 |
本研究では、1型糖尿病において治療困難の原因となる膵β細胞機能の完全廃絶を規定する遺伝因子を同定し、その分子メカニズムを明らかにするとともに、膵β細胞機能の完全廃絶を予知・予測するバイオマーカーを探索・同定することにより、内因性インスリンの完全廃絶阻止に資する基盤情報を得ることを目的として研究を進めている。 1)膵β細胞機能の完全廃絶を規定する遺伝因子の解析: 劇症1型糖尿病のGWASに引き続いて、自己免疫性1型糖尿病(急性発症・緩徐進行)を対象としたGWASにてゲノムワイド有意水準をクリアするSNPが同定された。imputationで同定されたSNPであり、周辺マーカーとの関連解析とノイズのキャンセルを進めているところである。 2)膵β細胞機能の完全廃絶を予知・予測するバイオマーカーの探索: 膵β細胞破壊・完全廃絶の血中バイオマーカーを探索する目的で、1型糖尿病急性期、慢性期(膵β細胞機能微少残存群)、慢性期(膵β細胞完全廃絶群)の3群を対象に血中メタボローム解析を進めた結果、Hypotaurineが膵β細胞破壊急性期のバイオマーカーとなることが示された(Noso et al. J Diabetes Investig 2023)。Hypotaurineは劇症1型糖尿病のゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定したCSADが鍵酵素となって生合成される中間代謝産物であることから、GWASとメタボローム解析という異なるアプローチで同定した膵β細胞破壊に寄与する遺伝子・分子が同一パスウエイに集約されることが示され、タウリン合成経路が膵β細胞破壊・完全廃絶の予知・予防・介入における重要な標的となることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵β細胞破壊・完全廃絶の血中バイオマーカーを探索する目的で、1型糖尿病急性期、慢性期(膵β細胞機能微少残存群)、慢性期(膵β細胞完全廃絶群)の3群を対象に血中メタボローム解析を進めた結果、Hypotaurineが膵β細胞破壊急性期のバイオマーカーとなることが示された(Noso et al. J Diabetes Investig 2023)。Hypotaurineは劇症1型糖尿病のゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定したCSADが鍵酵素となって生合成される中間代謝産物であることから、GWASとメタボローム解析という異なるアプローチで同定した膵β細胞破壊に寄与する遺伝子・分子が同一パスウエイに集約されることが示され、タウリン合成経路が膵β細胞破壊・完全廃絶の予知・予防・介入における重要な標的となることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝因子の解析は劇症1型糖尿病のGWAS結果に基づいたターゲットリシークエンスを進め、結果を解析する。自己免疫性1型糖尿病(急性発症・緩徐進行)を対象として進めているGWASを完結すると共に、バイオバンクジャパンのデータベースに登録されている1型糖尿病のGWASデータから1型糖尿病病名のデータを抽出して、統合ゲノム解析を進めており、日本人自己免疫性1型糖尿病の新たな遺伝子座の同定を完結する。バイオマーカーの探索はメタボローム解析と並行して進めている血中アミノ酸組成の解析を多数例で検証し、新規バイオマーカーの同定を完結する。
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