研究課題
<背景・目的>これまでに我々は、ラットDuodenal-jejunal bypass (DJB)モデルを用い「肥満症」に対する外科治療 (Metabolic surgery)は2型糖尿病・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)改善効果を有し(JGH 2015)、その効果には腸内細菌叢Gut microbiomeの変化や胆汁酸が関与することを報告した(Surgery today 2017)。近年、この腸内細菌叢の変化(Clostridium減少)は、二次胆汁酸の低下やNKT細胞を増加させ、肝発癌抑制にも寄与することが報告されている(Science 2018)。本研究ではMetabolic surgeryの腸内細菌叢を肥満・糖尿病ラットに移植(糞便移植FMT)することで、糖尿病やNASH改善とともに長期的には肝発癌予防も得られるかを検証する。<方法>肥満糖尿病ラットをDJB群、開腹のみのSham群に分け術後肝発癌誘導剤DENを自由飲水させ6週で犠死。肝腫瘍個数・サイズ・HE染色・Ki67index・前癌マーカーGSTπ、CXCL16・CXCR6・FXR・IFNγmRNA、腸内細菌叢を比較・検討した。<結果>血糖は両群間で差を認めなかったが、体重はDJB群で低下した。術後6週での肝重量/体重比は両群間で差を認めず。腫瘍形成に関しては両群ともに肉眼的腫瘍形成は見られず、Ki67indexも差を認めなかったが、GSTπはS群に比してD群で少なかった。CXCL16・CXCR6・FXR・IFNγ・IL6mRNAはいずれも両群間で差を認めなかった。腸内細菌叢の解析では群間で多様性・属レベルでの著明な変化は見られなかった。<まとめ>Metabolic surgeryには肝発癌抑制効果を示す可能性は示唆されたものの、腸内細菌叢の変化は見られなかった。
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