研究課題
甲状腺がんは内分泌領域で最も頻度が高いがんで、わが国において2018年に18,636人が新たに診断されている。甲状腺がんの治療の中心は外科治療であり、術前の画像評価と細胞診によって、がんの大きさ、組織型、浸潤度の評価を行い、甲状腺片葉切除・全摘の術式が決定されている。大部分は予後良好であるが、一部の低分化がんは術前の画像診断や細胞診での判定が困難で、術後の再発がみられ、生命予後不良である。本研究では、がん関連遺伝子に着目し、がん関連タンパク発現量の定量化・プロモータ変異の解析、術前の血液に含まれるエクソソーム中のDNAのゲノム解析を行い、甲状腺がんの遺伝子変異を評価し、遺伝子変異、臨床データとがんの悪性度、予後との関連を後方視的に解析を行った。本研究成果から、従来の評価では悪性度の評価が困難である微小がんや侵襲性のがんに対し、術前の遺伝子診断を踏まえての治療方針決定を行えるという臨床応用の可能性が期待される。甲状腺がんでのゲノムプロファイリング検査の結果から、甲状腺がんの分化や増殖にPIK3CAの活性化、がん抑制遺伝子(p16 p53)の欠失やTERTプロモータ変異といった遺伝子異常が関係していることが示唆されがん組織を用いての検討が行われている。本研究では、このTERTに着目し、これまで検討されたことがないTERTのRdRPを介した経路についても解析し、TERTの多面的異常が甲状腺癌の悪性度と関連している可能性が考えられた。
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The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
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10.1210/clinem/dgae161