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2022 年度 実施状況報告書

疾患モデル突然変異体を利用した腸管閉鎖発症機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K08601
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

小林 大介  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60376548)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード腸管閉鎖 / モデル疾患生物 / メダカ / アクトミオシン
研究実績の概要

本研究ではアクトミオシンの制御の異常により胚発生時に腸管閉鎖を生じるメダカの突然変異体を用い、腸管閉鎖症の発症機構の一端を明らかにすることを目的としている。本年度は(1)腸管閉鎖部位における遺伝子発現変動のシングルセルレベルでの解析、(2)腸管閉鎖を生じる際のライブイメージング、のための予備実験を行った。
(1)腸管閉鎖に先行して起こる現象として応募者が捉えている最も初期の兆候は、stage25胚における腸管閉鎖部位での異常なアクチンの集積である。この時期に腸管で生じている現象を遺伝子発現のレベルから捉えるために、この時期の腸管を単離しシングルセルレベルでの遺伝子発現解析を行い、変異体における発現変動を明らかにすることを目的としている。しかしながら、この時期の胚はライブの状態では変異体の識別を行うことができず、何らかの手法で変異体を識別する方法が必要である。そのために、組織特異的に蛍光タンパクを発現するコンストラクトを原因遺伝子であるmypt1にノックインし、遺伝子の機能破壊が行われたアリルを持つ個体で組織特異的な蛍光タンパク質の発現が観察される系統の作成を試みた。これまでに心臓特異的にmCherryを発現するノックイン系統を作成している。本年度はこれに加えて心臓にGFPを発現するノックイン系統を作成することを試みた。両ノックイン系統を用いることにより、GFP/mCherryの両者が発現する胚を変異体ホモの個体を判別できることが期待される。
(2)これまでに作成したLifeact-mCherryのノックイン個体では、観察に十分な蛍光強度が得られなかったことから、新たにアクチンに結合するnanobodyを利用したコンストラクトを作成し、内在性アクチンの局在を可視化できるか否かについて検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

変異体アリルを識別する方法として、心筋に発現するzebrafish cardiac myosin light chain2 (zcmlc2) のプロモーターを用いて蛍光タンパク質を組織特異的に発現するコンストラクトをmypt1の遺伝子座にCRISPR/Cas9の系を用いてノックインすることを試みた。これまでにzcmlc2プロモーターにより心臓特異的にmCherryを発現するノックイン系統を得ている。現在はGFPを発現するノックイン系統を作成中である。
腸管閉鎖をライブで観察するためのメダカの系統の作成を行っている。これまでにアクチンの動態の観察のために作成したLifeact-mCherryを腸管上皮で発現する系統では蛍光強度が低く、ライブ観察は困難であった。そこで新たなアクチン可視化のための候補としてアクチンに結合するnanobodyを利用する試みを行った。アクチンに結合するnanobodyとTagRFPの融合タンパク質を発現するコンストラクトを作成し、合成したmRNAを受精卵に導入したところ、内在性のアクチンの局在を再現する発現パターンが確認された。導入するmRNAの量を検討したところ、高濃度の導入は発生に異常をきたし、発現量のコントロールが必要であることが示唆された。

今後の研究の推進方策

ライブで変異体アリルを識別可能な系統が作出でき次第、サンプルを調整しシングルセル解析の委託を行う予定である。ライブ観察に関しては、腸管の上皮細胞の細胞膜を可視化した系統では観察に十分な蛍光強度が得られているが、アクチンの動態を可視化する系統では蛍光強度が不十分であった。mRNAの導入でアクチンの局在が可能であったact-nb-TagRFPを腸管に発現するノックイン系統の作成を行い、作成した系統を利用してライブ観察を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

シングルセル解析のためのサンプル調製が本年度中には間に合わなかったため、そのための費用を繰り越した。

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公開日: 2023-12-25  

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