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2022 年度 実施状況報告書

エクソソームによる前転移ニッチ形成における好中球細胞外トラップの意義

研究課題

研究課題/領域番号 21K08602
研究機関自治医科大学

研究代表者

大西 康晴  自治医科大学, 医学部, 准教授 (60377257)

研究分担者 佐久間 康成  自治医科大学, 医学部, 教授 (10296105)
金丸 理人  自治医科大学, 医学部, 助教 (10625544)
北山 丈二  自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
眞田 幸弘  自治医科大学, 医学部, 准教授 (60406113)
大澤 英之  自治医科大学, 医学部, 准教授 (60458271)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード好中球細胞外トラップ / エクソソーム / 肺転移 / 腹膜播種 / 好中球
研究実績の概要

マウス胃癌細胞YTN16をC57/BL6マウスの腹腔内に接種することを繰り返し、腹膜播種高転移株YTN16Pを作成した。これらの細胞株の培養上清から超遠心法を用いてエクソソームを分離、抽出し、カゼイン腹腔内投与後に腹腔内に滲出した好中球を分離し、それに添加して細胞膜非透過性核酸検出試薬SYTOXで染色してNETs誘導性を測定したところ、YTN16P由来のエクソソーム添加群でNETsの産生が有意に上昇することが確認できた。また、マウス大腿骨から採取した骨髄細胞に添加、4~24時間培養し、同様の方法でNETsを作成したところ、TN16P由来のエクソソーム添加群でNETsの産生が若干上昇する傾向が認められた。
YTN16と亜株YTN16pL6マウスの腹腔内に接種し作成した腹膜播種巣から組織切片を作成し、抗 Gr1抗体で好中球を NETs をシトルリン化ヒストン3 (Cit H3) に対する抗体で免疫染色を行ったところ、YTN16PにてGr-1(+)好中球とCit H3(+)のNETsの密度が多く、CD8(+)T細胞は少ない傾向を認めた。
また、ヒト大腸癌患者267例において53名(19.9%)が手術時メトホルミンを服用していたが、メトホルミン内服群におけるCD66b(+)好中球の密度は非内服群よりも有意に低く(100.0(34-322)/0.25mm2 vs 169.0(36-553)/0.25mm2 p <0.001)、CD66b(+)CitH3(+)のNETsの密度もメトホルミン内服群は非内服群と比較して有意に低かった(20.0(0-104)/0.25mm2 v vs 36.0(8-272)/0.25mm2 v, p <0.001)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、B16メラノーマと高転移株B16-F10由来のエクソソームにNETs誘導能に顕著な差があると想定していたが、予想とは異なり有意差を認めなかったため、候補microRNAを拾い上げる目的で別の細胞株を利用する必要があることが判明した。そこで、胃癌細胞YTN16から腹膜高転移株YTN16Pを作成し、この腹膜播種病変を用いて解析することに取り組んでいる。この実験系ではNETsの産生能に有意差は検出できた。しかし、好中球の分化、NETs産生に関するこの差異を誘導する決定的な役割を果たすmicroRNAの同定がまだ出来ていない。
一方、ヒト大腸癌サンプルにおいて、免疫染色法を用いてNETsと腫瘍浸潤リンパ球の分布状態を定量するシステムを作成することができたので、今後、いろいろながん種について活用することができる。

今後の研究の推進方策

マウス胃癌細胞YTN16とそのサブクローンであるYTN16Pを用いてカゼイン腹腔内投与後に腹腔内に滲出した好中球に添加し、4~24時間培養し、SYTOXで染色してNETs産生を経時的に検討するとともに、この細胞由来のエクソソームからmicroRNAを抽出し、GeneChip miRNA Arrayを用いて網羅的解析を行い、標的となるmicroRNAを数個選択する。これらのmicroRNAを委託作成し、その機能をIn vitroで解析する。
健常マウスに上記の検討で選択したmicroRNAを連日腹腔内投与し、末梢血、腹腔内の好中球が増加するか?を検討する。さらに、その実験系にて該当するmicroRNA に対するanti-miRを投与し、腹膜転移が抑制されるかを検討する。また、NETs産生を抑制するCl-AmidineないしNETsを分解するDNase Iを投与し、腹膜転移が抑制されるか?を明らかにする。
また、ヒトの大腸癌、胃癌、卵巣癌の切除サンプルを用いて、腫瘍微小環境におけるNETsの存在と細胞障害性T細胞の浸潤様式の相関性について臨床病理学的因子を含めてより深く検討を加える。

次年度使用額が生じた理由

今年度中に標的となるmicroRNAの同定が出来なかったため、マウスを用いたin vivoの実験が出来なかった。最終年度は、YTN16とYTN16P細胞由来のエクソソームからmicroRNAを抽出し、GeneChip miRNA Arrayを用いて網羅的解析を行い、標的となるmicroRNAを数個選択する。これらのmicroRNAを委託作成し、その機能をIn vitroで解析する。その結果に基づいて選択したmicroRNAを作成し、マウスに連日投与し、末梢血中、腹腔内の好中球、NETsが増加するか?また腹膜転移の増加が見られるか?を検討する。さらに、その実験系にて該当するmicroRNA に対するanti-miRを投与し、腹膜転移が抑制されるかを検討する。また、NETs産生を抑制するCl-AmidineないしNETsを分解するDNase Iを投与し、腹膜転移が抑制されるか?を明らかにする。
様々なステージのヒトの大腸癌、胃癌、卵巣癌の切除サンプルを用いて、腫瘍微小環境におけるNETsの存在と細胞障害性T細胞の浸潤程度を検討し、その相関性を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Peripheral low-density granulocytes after colorectal cancer surgery in predicting recurrence2023

    • 著者名/発表者名
      Futoh Yurie、Kumagai Yuko、Miyato Hideyo、Ozawa Hideyuki、Kanamaru Rihito、Sadatomo Ai、Ohnishi Yasuharu、Koinuma Koji、Horie Hisanaga、Yamaguchi Hironori、Lefor Alan Kawarai、Sata Naohiro、Kitayama Joji
    • 雑誌名

      BJS Open

      巻: 7 ページ: -

    • DOI

      10.1093/bjsopen/zrac154

    • 査読あり
  • [学会発表] 【肝胆膵】消化器移植医療の現状と今後の展望 チーム医療による肝移植の現状と今後の展望2022

    • 著者名/発表者名
      大西 康晴, 佐久間 康成, 眞田 幸弘, 岡田 憲樹, 平田 雄大, 堀内 俊男, 大豆生田 尚彦, 水田 耕一, 佐田 尚宏.
    • 学会等名
      第77回日本消化器外科学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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