研究課題/領域番号 |
21K08605
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
末吉 亮 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10724172)
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研究分担者 |
世川 修 東京女子医科大学, 医学部, 臨床教授 (30255682)
古橋 七海 東京女子医科大学, 医学部, 後期臨床研修医 (60911914) [辞退]
山田 進 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20827894)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝線維化 / DPP4阻害薬 / IFALD / 短腸症候群 / TGF-β / α-SMA染色 / NASH |
研究実績の概要 |
これまでの研究にて、DPP4阻害薬が長期中心静脈栄養による肝臓での脂肪沈着、肝線維化に対して、脂肪沈着を抑制することで血清ALT値を低減する効能を確認した。また、我々が独自に作成したIFALDモデルにおいて、生食投与群ではH-E染色およびSirius-Red染色所見にて肝臓門脈周囲領域を中心に肝線維化所見を有していた。一方で、DPP4阻害薬投与により、肝線維化所見を低減させる効果を有していることを証明した。そこで、最終年度ではその効果を呈するメカニズムの解明を探求した。 肝線維化に関わる因子として各種サイトカインの関与が想定された。今までの非アルコール性脂肪肝炎において、DPP4阻害薬投与により、肝星細胞からのTGF-βの分泌が抑制されることが報告されており、我々のIFALDモデルでも同様のメカニズムの関与を検討した。ELISAキットを用いて血清TGF-βを確認したところ、有意に低値を呈している状態であった。また、肝線維化の進行により肝星細胞から筋線維芽細胞への分化誘導が進んでいることを把握するため、α-SMA染色を施行して、DPP4阻害薬の効能を確認したところ、DPP4阻害薬投与群においてα-SMA染色陽性細胞が有意に低下していた。 従って、IFALDモデルにおいてDPP4阻害薬投与によってTGF-βの分泌を抑制して肝星細胞から筋線維芽細胞への誘導が抑制され、肝障害の進行を抑制する効果を有することが示唆された。
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