研究課題/領域番号 |
21K08606
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
細川 崇 日本大学, 医学部, 助手 (50870094)
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研究分担者 |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
金田 英秀 日本大学, 医学部, 助教 (30598967)
上原 秀一郎 日本大学, 医学部, 准教授 (00448060)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肛門括約筋 / 脱分化脂肪細胞 / exosome / 筋再生治療 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、本研究で必要となるDFAT由来exosomeの調整と確認実験を行った。C57/BL6マウスから皮下脂肪組織を採取した後、コラゲナーゼ溶液を用いて処理、フィルター濾過を行った後、低速度遠心分離を行い、上層に集積した成熟脂肪細胞を採取した。10%ウシ胎児血清含有脂肪細胞用無血清培養液CSTI-303MSCで満たした25㎝2細胞培養用フラスコ中に細胞を導入し、継続培養した。7日後、培養液を交換し、細胞付着面が底になるようにフラスコを反転させ、さらに培養を継続しDFATを作製した。得られたマウスDFATを用いて、継代・培養を行い、exosome free mediumで培地交換した。その後、48時間培養後の培養上清を回収し、Exoquick-TCを用いてDFAT由来 exosomeを単離した。採取したexosomeを電子顕微鏡で観察し、その存在を確認することができた。さらに、DFAT由来のexosomeが筋芽細胞分化誘導に与える影響について検討を行った。マウス筋芽細胞株であるC2C12細胞を培養した。C2C12細胞をdishに播種した後、DMEM(control)群、DFAT由来exosomeを添加したDMEM群、DFAT condition medium群、exosomeを除去したDFAT condition medium群の4群に分けて、継続培養をおこなった。培養、分化誘導したC2C12細胞を4%パラホルマリンで固定した後、一次抗体として抗マウスミオシン重鎖抗体(抗マウスF59 抗体)を、2次抗体としてAlexa-Fluor-568-conjugatedヤギ抗マウスIgG抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。その結果、exosome添加DMEM群、DFAT condition medium群において、control群、exosome除去DMEM群に比べ、Nuclei number、Fusion indexはともに高い傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、DFAT exosomeを用いた分化誘導実験では、継続培養期間を4日で行う予定であった。しかし、群間で比較をした際にexosome添加DMEM群、DFAT condition medium群は、control群、exosome除去DMEM群に比べ、分化誘導が進んでいる傾向が見られたものの、有意差が出るには至らなかった。そのため、現在、最適な培養継続日数や条件を検討しなおして実験を継続している段階である。また、ラットの肛門括約筋障害モデルに対する検討においては、現在予備実験を行っている段階であり、進捗状況としてはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
DFAT exosomeを用いた分化誘導実験では、最適な培養継続日数や条件を再検討していく。また、ラットの肛門括約筋障害モデルに対するDFAT由来のexosome投与実験においては、既報のラット肛門括約筋障害モデルに対し、DFATから調整したexosomeを肛門周囲に局所投与することで、肛門括約筋機能が改善することを、肛門内圧測定による機能評価と、H-E染色、免疫組織化学染色による組織学的評価によって証明する予定である。さらには、DFATを骨格筋細胞へ分化誘導した後に採取したexosomeが、通常のDFAT由来exosomeに比べ、より筋再生を促進させるかについても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットの肛門括約筋障害モデルに対する検討において、本年度は確認実験までしか施行できず、当初の研究計画より遅れが生じてしまった。予定していた実験が遅延により遂行できておらず、結果、当該年度の支出額が予定額を下回った。次年度は本年度に行う予定であったラットの肛門括約筋障害モデルの検討を行う予定である。
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