研究課題/領域番号 |
21K08615
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
野竹 剛 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (40645511)
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研究分担者 |
清水 明 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (00447773)
窪田 晃治 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (10598220)
副島 雄二 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (30325526)
増田 雄一 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (60467149)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / CD8 / flowcytometry / IRF2 / CXCR5 |
研究実績の概要 |
本研究では、主に follicular helper T細胞(TFH)を抑制するとされるCD8陽性制御性T細胞(CD8 Treg)の性質に関する基礎的な検討と臓器移植への応用を目指している。 過去の報告によると、CD8陽性Tregの細胞表面マーカーとして、Ly49, CD44, PD1, CXCR5といったものがあげられている。我々はこれまでの研究で、転写因子IRF2依存性に存在するLy49陽性CD8陽性T細胞(Ly49陽性T細胞)についての特徴についての検討を行ってきている。そこでまず、IRF2依存性Ly49陽性T細胞がCD8 Tregと相同であるとの作業仮設の元に、令和2年度において以下の検討を行った。
【検討①】野生型マウスの脾臓およびリンパ節より抽出したリンパ球を用いてflowcytometryを行い、Ly49陽性T細胞のCD44やPD1,CXCR5の発現の有無について検討した。その結果、Ly49陽性T細胞はCD44およびPD1は発現するものの、CXCR5は発現していないことが分かった。
【検討②】IRF2欠損マウスの脾臓およびリンパ節より抽出したリンパ球を用いて、CD8 Tregの発生・分化にIRF2が関与しているかを検討した。脾臓とリンパ節両者において、野生型マウスに比べてIRF2欠損マウスでは、CD8 Treg(CD44+,PD1+,CXCR5+)が減少していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度に当教室の統括医長に任命されたため、通常の臨床業務に加えて医局運営業務を行わなければならなくなったこと、さらには新型コロナウイルス感染対策にかかわる業務にために、本研究のために割くことができるエフォートを減らさざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策: ①令和3年度の実験では、naiveな状態での評価であったためそもそもCD8 Tregの数が少なく評価が困難であった可能性がある。このためマウスをペプチドをもちいて抗原刺激してfollicular helper T細胞(TFH)を活性化させ、その状態で改めてLy49陽性細胞とCXCR5発現についての関係を検討する。さらに、ペプチドを用いたTFH刺激系に、purifyしたLy49陽性T細胞を共培養し、産生された抗体量を測定する。これにより同subsetがTFH機能を抑制しうるかを評価する。 ②マウス皮膚移植モデルを作成し、体表リンパ節でのTFHやCD8 Tregの数、活性化状態にtるいて検討を行う。さらには野生型マウスとIRF2欠損マウスでの上記細胞集団の差異についても併せて検討する。 ③肝移植患者検体を用い、グラフト肝のHLA-C発現量やサブタイプと、拒絶反応の発症率ならびに重症度について、検討する。
研究を追行するうえでの課題:当初はラット肝移植モデルを作成し、同モデルでのCD8 Tregの機能について検討を行う予定であったが同モデルの確立にはまだ相当の時間を要することが見込まれる。このため、同モデルの確立には取り組みつつ、他の動物モデル(皮膚移植モデル)を用いた実験を優先させて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:令和3年度よりex vivo刺激系を用いたCD8 Tregの病態・機能解析によりかかっているが、本研究にかけるエフォートが減少したため当初見込んでいた実験を行うことができなかったため、令和3年度必要額として計上した金額を下回ることとなった。 次年度使用額の使用計画:令和3年度に引き続き、本年度に繰り越したex vivo刺激系を用いたCD8 Tregの病態・機能解析を継続する。これに並行して、マウス皮膚移植モデルの導入ならびに同モデルを用いたCD8 Tregの解析を令和4年度に開始する。
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