研究課題/領域番号 |
21K08619
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 友加 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (90432666)
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研究分担者 |
大段 秀樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (10363061)
坂口 剛正 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70196070)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 臓器移植 / SARS-CoV-2 / 免疫抑制剤 / T細胞応答 |
研究実績の概要 |
臓器移植患者に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が感染した場合、臓器移植患者管理には慎重な対応が求められるが、免疫抑制薬による管理法や重症化のリスク因子については定まった見解がない。一方、SARS-CoV-2感染後の重症化において、過剰免疫反応によるサイトカインストームとの関連が指摘されている。本研究は、臓器移植領域の各種免疫抑制剤が SARS-CoV-2 ゲノム複製へ与える影響について、in vitro SARS-CoV-2感染システムを用いて解明し、SARS-CoV-2タンパク特異的なT細胞応答を評価するモデルを確立し、免疫抑制薬が抗ウイルスT細胞応答に及ぼす影響を解明する。また、FOXP3の遺伝子多型がSARS-CoV-2感染に与える影響についてのSNP解析と臓器移植における免疫抑制療法への影響を解析する。これまでに、既に確立し報告しているSARS-CoV-2培養系を用いた各種免疫抑制薬のウイルスゲノム複製に対する影響を解析した。標的細胞の感染前に臓器移植で用いられる各種免疫抑制剤(CNI, 核酸合成阻害剤、mTOR阻害剤、ステロイド、抗体製剤)を臨床的有効濃度を振ってSARS-CoV2感染細胞培養系に添加し、ウイルスゲノム増殖に対する影響の解析を実施した。その結果、核酸合成阻害剤およびmTOR阻害剤にウイルス増勢抑制効果を認めることが分かった。これらの抑制効果は、SARS-CoV2に対し治療効果が報告されている他の薬剤と同等とまではいかないもののある一定の抑制効果を得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitro SARS-CoV-2感染システムを用いた免疫抑制剤の効果解析については、ほぼ実験が終了し、現在論文投稿準備中である。また、FOXP3遺伝子多型の感染への影響解析については、測定中であり、2022年度前半で解析終了を目標としている。健常人ボランティア末梢血を用いた機能解明は現在準備中で2022-2023年度での実施計画としている。
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今後の研究の推進方策 |
また、FOXP3遺伝子多型の感染への影響解析については、測定中であり、2022年度前半で解析終了を目標としている。臓器移植患者での免疫抑制療法の評価については、引き続き症例を蓄積して解析を実施中である。健常人ボランティア末梢血を用いたT細胞機能評価については、ウイルス蛋白選定、試薬等調整中であるが、現在の実験計画通りの推進を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施はおおよそ計画通りに進んでいるが、論文投稿を2021年度内に行う予定が間に合わなかった。そのため、39986円は次年度の論文投稿費用として2022年度4~6月に使用する予定である。
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