研究実績の概要 |
これまでにマウスモデルを用いて施行した実験結果の蓄積をまとめ、研究課題の中心的テーマである神経芽腫に対する抗PD-1/PD-L1抗体共投与による免疫チェックポイント阻害療法が抗腫効果を発揮するメカニズムの解析を行った。まず腫瘍組織に浸潤する腫瘍浸潤リンパ球(Tumor infiltrating lymphocyte:TIL)のうち、活性化したCD8陽性リンパ球をCD69抗原の発現をメルクマールとして解析し、抗腫瘍効果が最も得られたマウス腫瘍のTILはCD69陽性CD8+TILの浸潤が、抗体治療により促進されていることを日本小児外科学会総会で発表し(井上他2023年6月第60回 日本小児外科学会学術総会 大阪)、その結果を国際医学雑誌 Jnournal of Surgical Researchに投稿し掲載された(Inoue S et al. J Surg Res. 2023 Sep; 190-201 Eupb 2023 May 2.)。 また、腫瘍に浸潤するNK細胞をCD49b分子を指標に解析した。抗体治療によりCD49b陽性NK細胞は腫瘍浸潤が促進されており、またAAGM1によりNK細胞を抑制したマウスでは、抗PD-1/PD-L1抗体共投与による抗腫瘍効果が消失することを証明し、第55回世界小児腫瘍学会(SIOP)で発表した(Inoue S et al. 55th congress of the International Society of Pediatric Oncology Oct 11-Oct 114, 2023, Toronto (Virtual Congress)。この結果は今後国際医学雑誌に投稿し掲載を目指す予定である。また腫瘍に浸潤するNK細胞と活性化CD69+CD8+TILの相互作用は今後のさらなる研究の重要なテーマとなる。
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