研究課題/領域番号 |
21K08628
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
岡崎 任晴 順天堂大学, 医学部, 教授 (30265988)
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研究分担者 |
有井 瑠美 順天堂大学, 医学部, 特任准教授 (50794418)
須田 一人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60784725)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胆道閉鎖症 / 小児胆汁うっ滞疾患 / 細胞内小器官 / ミトコンドリア / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
本研究は、胆道閉鎖症患者および対照疾患患者の臨床肝検体を用いてミトコンドリア機能を軸に酸化ストレスの臨床意義を解明するものである。 1)今年度は、まず胆道閉鎖症肝組織におけるミトコンドリア機能・酸化ストレス因子と臨床パラメータの相関性を検討するため、胆道閉鎖症患者と胆道拡張症・他胆汁うっ滞疾患などのコントロール疾患症例から手術時・生検により肝組織を一部採取し、組織解析とmRNAの発現解析を進められるようにサンプルの準備を進めてきた。新規検体のみでなく、組織免疫染色解析も進めるべく過去の保存検体についても併せてサンプルの準備を進めた。また、症例ごとに血液学的肝機能値・生命予後・自己肝生存などの臨床項目を調査した。 2)続いて、組織解析のうちまずミトコンドリアの形態変化を評価するため、新規に得られた肝組織については電子顕微鏡下での観察を開始し、胆道閉鎖症患者の肝組織内ミトコンドリアでは他の胆汁うっ滞疾患に比して封入体の形成が優位にみられる結果が得られた。また、過去検体も含めて組織免疫染色を開始し、ミトコンドリア外膜マーカーであるTom-20とマトリックスマーカーのHsp60について各症例における肝細胞・胆管細胞での発現分布の解析を進めてきた。 3)胆道閉鎖症特有にみられるミトコンドリア機能や酸化ストレス関連因子を網羅的に比較検討するためのバルクRNA-Seq解析を行う準備として、胆道閉鎖症および対照症例肝組織からmRNAを抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、計画1)胆道閉鎖症や他の胆汁うっ滞疾患患者の肝組織を用いて、酸化ストレス因子と臨床パラメータの相関性を検討する、計画2)肝組織内のミトコンドリア機能に着目し、ミトコンドリア代謝・ATPとROS産生能・ミトコンドリア膜電位・ミトコンドリアDNAコピー数の解析を行い、胆道閉鎖症各症例における予後相関性を観察する。同時に、他疾患との差異も検証する、計画3)アポトーシス促進因子であるmTOR複合体関連分子・酸化ストレス抑制性転写因子、およびミトコンドリア機能関連因子や、BAの慢性炎症機序を説明し得るシグナル経路を模索するために、RNA-Seq解析を施行する、の3つに分けて進めるものであり、本年度は主に計画1について検討を開始した。また、新規に臨床検体を得る中で、計画2)・3)に該当する実験計画に必要な試料も手に入ったので研究計画全体を通してみると、実験準備は整いつつあるため進捗状況はおおむね順調に進展している、とした。 具体的には、計画1)における酸化ストレス因子と臨床パラメータの相関性に関する検討については、まだ総合的な結果を得てはいないが解析のための検体試料収集および臨床項目の調査は大きく進んでいる。続いて計画2)については、試料の準備だけでなく実際に電子顕微鏡や組織免疫染色によってミトコンドリアの形態異常解析を行っており、大幅に進捗を見せられている。また、計画3)については、バルクRNA-Seq解析を行う準備として、胆道閉鎖症および対照症例肝組織からmRNAを抽出してきており、まだ解析を行うほどのサンプル数が得られていないもののこちらも進展状況としては良好なものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に進めてきた準備をもとに、2022年度では予定していた実験系を大きく進める。 すなわち、1)過去検体を含めて組織免疫解析を網羅的に行うことで、胆道閉鎖症における酸化ストレス因子(8-OHdG・HEL)やミトコンドリア関連因子(Tom-20・Hsp60)の発現分布を評価し、各症例における臨床項目である肝機能・生命予後や他の胆汁うっ滞疾患との差異・相関性を比較する。新規に収集したサンプルのうち、mRNAを用いてのqPCR発現解析も開始する。2)また、新規肝組織検体については引き続き電子顕微鏡下での観察を進め、ミトコンドリアをはじめとする細胞小器官の形態解析を詳細に行う。さらに、準備実験としてマウス肝を用いてミトコンドリアを単離する技術を習得し、その後臨床のヒト肝検体でも同様に執り行うことでミトコンドリア機能解析に取り掛かる予定である。3)これまで抽出してきたmRNAを用いて、胆道閉鎖症特有にみられるミトコンドリア機能や酸化ストレス関連因子・下流炎症サイトカインなどの発現量を網羅的に検討するためのバルクRNA-Seq解析を行う。
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