研究課題/領域番号 |
21K08629
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
今水流 智浩 帝京大学, 医学部, 教授 (40359576)
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研究分担者 |
内山 雅照 帝京大学, 医学部, 講師 (60713295)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗体関連型拒絶反応 / BTLA / PD-1 |
研究実績の概要 |
臓器移植における最大の課題である拒絶反応の中で急性拒絶反応は免疫抑制剤やステロイド等の投与方法や開発により一定の制御が可能となった。しかし、従来型免疫抑制剤の長期投与では副作用の増加と医療費の向上を引き起こし、また慢性拒絶反応の制御は依然困難な状態である。慢性拒絶反応や抗体関連拒絶反応の原因として、ドナー特異的抗体(以下、DSA)産生や血管炎などの微小血管閉塞が考えられている。免疫抑制療法の発展により、ドナーに対して作り出されるドナー特異的抗体を持つレシピエントに対して、術前にB細胞除去や抗体除去などの脱感作療法を行い、比較的良好な成績を残している。しかし、術後の抗体関連拒絶反応(antibody mediated rejection.以下、AMR)は急性期、慢性期問わず完全な制御は困難な状態である。急性AMRに対する治療として、術前と変わらず抗体除去、ステロイドパルス、IVIG(大量免疫グロブリン療法)等があり、一定の効果を上げているが、慢性AMRに対する治療は無い状態である。根治治療が存在しない今、少しでも制御可能な治療法や薬剤の開発が待たれている。慢性AMRの詳細な作用機序を解明し、制御法を開発するために、心臓移植モデルに長期生着が確認されている抗BTLA抗体と抗PD-1抗体の併用投与を行い、ドナー特異的抗体産生能の抑制によるAMRの制御法の確立を目的とする。 2022年度は抗BTLA・抗PD-1抗体によるマウス移植心長期生着群のAMRを検証した。術後1,2,4週のDSA産生を測定し、対照群と比較して明らかに産生抑制を認めた。現在、両抗体を長期生着群に1週間ごとに投与したマウス群を作成し、2022年度の結果と比較検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験の中心となるマウスモデルの作成が順調であったため。
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今後の研究の推進方策 |
・抗体追加投与によるDSA測定 ・DSA評価と病理組織の相関解析
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次年度使用額が生じた理由 |
・マウスモデルの作成が予想よりかなり順調であり、追加購入するマウスがほぼ無かったため。 ・手術用薬剤(麻酔薬、縫合糸など)を節約し、当該年度の追加購入を控えることが出来たため。
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