研究課題/領域番号 |
21K08630
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
本間 章彦 東京電機大学, 理工学部, 教授 (20287428)
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研究分担者 |
塚原 彰彦 東京電機大学, 理工学部, 助教 (40806030)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 潜熱蓄熱材 / 体内植込機器 / 温度上昇抑制 |
研究実績の概要 |
現在までに、体内埋込機器が体内に埋め込まれている状態を模擬した実験系の構築を行った。体内植込機器を想定した筐体内に、電気機器を模擬した発熱体を封入し、生体組織を模擬したファントム内に留置を行った。筋組織などでは、対流による熱の移動は起こらないため、ファントムには寒天を用いて生体組織を模擬し、対流による熱の移動が起こらないようにした。ファントムを入れた容器の外部を恒温水槽で囲み、体温を想定した37度に水温を維持することで、ファントムの全体の温度を一定温度37度に維持した。ファントム内に体内埋込型機器を想定した金属からなる筐体を埋め込んだ。筐体内部には、電気機器を想定した発熱体を筐体と直接接触することが無いように設置し、隙間の空間に潜熱蓄熱材の充填を行った。発熱体を目標温度まで上昇させ、一定温度で維持し、潜熱蓄熱材が充填されている筐体内と筐体表面、筐体周辺部のファントムの温度計測を行った。発熱体の温度上昇に伴い、筐体内の潜熱蓄熱材の温度も上昇したが、潜熱蓄熱材の融解点付近の温度で上昇はある一定時間抑制された。潜熱蓄熱材が固体から液体に相変化する過程で吸熱され、一定温度で維持されたと考えられた。その後、継続して発熱体を一定温度で維持し続けると、潜熱蓄熱材の温度は再び上昇を認めたため、潜熱蓄熱材が固体から液体に全て変化し、相変化による吸熱ができなくなったためと考えられた。潜熱蓄熱材を用いることで、体内植込機器の筐体温度上昇の抑制が可能であることが示された。筐体温度上昇の抑制性能については、筐体の大きさ、筐体に占める潜熱蓄熱材の量、潜熱蓄熱材の相変化温度の調整など、様々な条件が影響すると考えられる。今後、様々な条件における実験を行い、有効性に関する検討が必要と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体内植込機器を想定した筐体、電気機器を模擬したヒーター、生体組織を模擬した寒天からなるファントム、ファントム温度を37度に維持するための恒温槽からなる、基本的な実験系を構築することができた。今後、様々な条件を変えて、実験的な検証が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な実験系を構築が終了したため、今後は、潜熱蓄熱材の相変化(融解、凝固)温度における「吸熱・放熱」作用が「体内植込機器の筐体温度上昇の抑制」の有効な手段に成り得るのかどうか実験的な検証が求められる。 特に筐体の大きさ、筐体に占める潜熱蓄熱材の量、潜熱蓄熱材の相変化温度の調整が温度上昇抑制に与える影響について実験的に検討を行う。 また、次の温度上昇に向けた吸熱の準備(機能回復)を図るために、潜熱蓄熱材の凝固(放熱)過程をどのように実現するのかについて検討を行う。
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