研究課題/領域番号 |
21K08633
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
柴田 雅朗 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (10319543)
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研究分担者 |
伊藤 裕子 大阪医科薬科大学, その他部局等, 功労教授 (40148432)
谷口 高平 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70779686)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | nSM2 / エクソソーム / ノックアウト / 乳癌 / 転移 / Smpd3 |
研究実績の概要 |
<背景と目的> 癌細胞の分泌するエクソソームには、転移促進、免疫抑制、薬剤耐性といった作用が報告されており、多方面から癌の進展に対して促進的に作用していると考えられている。転移は癌による死因の殆どを占めていることから、エクソソーム分泌に関わる遺伝子を標的とする治療戦略を試みる。エクソソーム分泌に関わる遺伝子として、Neutral sphingomyelinase 2 (nSM2)、Rab27aおよびAlixの3遺伝子が知られている。そのうち、まずnSM2遺伝子(またはSphingomyelin phosphodiesterase 3、Smpd3と称される)を転移性のマウス乳癌細胞において、欠失させる。<方法> マウスnSM2遺伝子のエクソン3に対する3種類のガイド配列を設計し、ノックアウトベクターにはネオマイシン耐性遺伝子(G418)とZsGreen1マーカー遺伝子(緑色蛍光を発するサンゴの遺伝子)を挿入するように設計した。それを転移性のマウス乳癌細胞株BJMC3879Luc2に遺伝子導入してnSM2遺伝子をノックアウトする。ノックアウトベクターの作製と乳癌細胞株への遺伝子導入を株式会社セツロテックに依頼し、遺伝子導入されたバルク状態の乳癌細胞株を入手した。現在、ZsGreen1による緑色蛍光を有している細胞とG418によるセレクションでnSM2ノックアウト乳癌細胞株を作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的の遺伝子が欠失された細胞をZsGreen1による緑色蛍光とG418によりセレクションしているが、予想以上に難航している。G418の濃度を挙げても緑色蛍光を有していない細胞が観察され、現在、G418の濃度を段階的に上げて、実験中である。
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今後の研究の推進方策 |
nSM2遺伝子を欠失した細胞のセレクション後はシングルセルクローンにし、塩基配列を確認する必要があり、当初、想定していたより時間を要すると思われる。nSM2遺伝子が欠失していることを確認後は、real-time PCRによるnSM2発現解析を経て、マウスに移植し、対照群と比較して、転移抑制に繋がるかどうかを確認し、転移抑制の治療ツールになり得るか否かを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアウトベクターの作製と乳癌細胞株への遺伝子導入といったノックアウト細胞作製の前半の実験を受託し、後半段階の実験は当方で行っているが、受託段階で難航し、実験がずれ込んだため、ノックアウト細胞作製の後半にかかる研究費の一部が次年度になった。 上述の通り次年度は、引き続きノックアウト細胞作製とその確認のための解析および動物実験を行う計画であり、それらの費用を充てる予定である。
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