研究課題/領域番号 |
21K08635
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡辺 正明 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (40789848)
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研究分担者 |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 助教 (10645287)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵島移植 / 免疫寛容 |
研究実績の概要 |
レシピエントから臨床生体肝移植前に得られたリンパ球をドナー細胞と、抗CD80/CD86 抗体存在下で共培養することでドナー抗原に特異的な免疫抑制性の細胞集団、いわゆる免疫抑制性細胞を作成し、肝移植後に患者に輸注する臨床研究を世界に先駆けて行った。生体肝移植 10 例中 7 例で免疫抑制剤を完全に中止しても、長期間にわたり臨床的にも、病理組織学的にも拒絶反応が認められない、免疫寛容状態を誘導し得るという結果を得た。この治療戦略に順じ、膵島移植、さらに再生医療学的手法で誘導された細胞を移植する次世代細胞移植にも応用し得る可能性が検証するため、我々は、まず、マウス脾細胞を用いて、臨床試験で誘導した方法と同様に、抗CD80/CD86 抗体存在下で共培養することで、有効な免疫抑制製細胞の誘導を行った。この過程で、どのような細胞集団が免疫抑制効果と関連することも検証している。誘導細胞のphenotypeをFACSで検証し、ドナー抗原に対する免疫抑制効果を、MLRで検証し、 臨床膵島移植で応用可能な免疫抑制細胞誘導法を確立していく。引き続き、誘導された免疫抑制性細胞を膵島や、再生医療学的手法で誘導された細胞を、移植後の細胞傷害の主体であるマクロファージ(RAW 264.7cell)や、Kupffer細胞と共培養し、細胞傷害の指標となる HMGB1、マクロファージ・Kupffer細胞の活性変化(IL-6, IL-12, TNF-α産生)、炎症反応や細胞機能に 関わる遺伝子を解析している。免疫抑制細胞が移植膵島、炎症担当細胞へ与える影響を検討するため、これまでの我々が報告した研究方法に準じ、免疫抑制性細胞を同種同系マウス膵島移植モデルのレシピエントに輸注し、移植後早期の膵島傷害に対する効果をin vivoで検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、免疫抑制性細胞を誘導し、その効果を動物移植モデルで検証することを目標としていたが、細胞培養の条件設定を確立するのに時間を要した。COVID 19感染拡大があり、実験に携わる人員の確保、実験を行う時間的制約があったため、当初の計画よりも若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞移植モデルを用いた免疫寛容誘導の検証として。 齧歯類膵島移植モデルにおいて、免疫寛容誘導を検証する。誘導された免疫抑制性細胞をマウスアロ膵島移植レシピエントに輸注し、移植膵島の生着期間延長効果を検証する。さらに再生医療学的に誘導された細胞の移植モデルでも同様の検証を行い、 臨床応用の可能性を検証する。移植部位(肝臓)の炎症状態を、炎症サイトカイン発現(PCR)で検討し、さらにレシピエントの脾臓細胞を用いてMLR、IFN-g ELISPOT assayにて免疫抑制効果を検証する。我々は、これまで免疫寛容時の免疫状態の研究をこれまで数多く行っており、膵島移植後の免疫状態解析を中心に検討を行う。さらに、NFKB抑制、IRR刺激といった治療法を併用することで、少ない移植膵島数での生着期間延長効果を検証する。 大動物膵島移植モデルにおける免疫抑制細胞の有効な投与方法の検証として。 臨床生体肝移植での臨床試験では、誘導された免疫抑制細胞は、静脈内投与された。一方、臨床膵島移植は肝臓内移植が基本であるが、皮膚下、腎臓皮膜内など、他部位への移植も想定される。今後に控える大動物膵島移植モデルによる検討を見据え、誘導された免疫抑制細胞の適切な投与方法、投与経路を、これまでの我々の報告を踏襲し、検討する。 大動物を用いた前臨床試験における検討準備、前臨床試験として。 カニクイザル細胞移植モデルにおいて、免疫寛容の誘導を検証上記検討で解明された方法で誘導された免疫抑制細胞を、我々のこれまでの報告を踏襲し、前臨床試験として、カニクイザルを用いた膵島移植モデルで検証することを想定している。本研究ではその前段階として、膵島の単離精製法の確立、および再生医療学的に誘導された細胞を移植し、前臨床試験に備えるための基礎的DATAを得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、免疫抑制性細胞を誘導し、その効果を動物移植モデルで検証することを目標としていたが、細胞培養の条件設定を確立するのに時間を要した。COVID 19感染拡大があり、実験に携わる人員の確保、実験を行う時間的制約があったため、当初の計画よりも若干遅れている。このため、977,481円を残し終了となるが、上記の如く、当初の計画に沿って精力的に実験を進めていく。
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