研究課題
短腸症候群やヒルシュスプルング病類縁疾患のような腸管不全患者は長期間の中心静脈栄養を要することが多い。腸管不全患者の予後を左右する因子として、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)や腸管不全関連肝機能障害(IFALD)が知られている。IFALDを発症すると、死亡率は劇的に増加するため、早期に中心静脈栄養からの離脱や、経腸栄養の促進などの対応が必須である。初年度と2年度で当科でフォローアップしている腸管不全患者の再評価を行った。腸管不全は9例認め、4例(44.4%)のみ点滴を離脱できていた。IFALDに関しては6例(66.7%)と高率に認めていたが、点滴栄養の調整、脂肪製剤の調整で肝不全に進行せず、生存していた。2022年度にIFALDを発症した短腸症候群の患児の腸内細菌を調査したところ、患児は病原細菌や悪玉菌と言われる、グラム陰性菌のProteobacteria門が半数以上を占めており、腸内細菌叢が乱れた状態であるdysbiosisであった。その腸内細菌叢の状況ではIFALD発症に加え、CRBSIも反復し、治療に難渋していた。また、体重増加不良も顕著であった。その後、腸管延長術および人工肛門閉鎖術を行い、短腸症候群に対する新規治療薬であるGLP-2アナログ製剤を導入したところ、CRBSIの発症率は低下し、IFALDも改善した。その状況で再度、腸内細菌叢を評価したところ、Proteobacteria門優位であった状況が、Proteobacteria門は低下し、Firmicutes門優位の状況に変化していた。IFALD発症、CRBSI発症には腸内細菌叢の異常が影響していた可能性が強く示唆された。
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