研究課題/領域番号 |
21K08648
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
池田 直也 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (20336861)
|
研究分担者 |
庄 雅之 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50364063)
藤井 智美 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50623477)
横谷 倫世 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70445055)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | トリプルネガティブ乳癌 / 免疫不活化経路阻害 / トリプルネガティブ乳癌におけるサブタイプ / 遺伝子パネル / 免疫療法 / TNBC / TNBCの個別化治療 |
研究実績の概要 |
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は,免疫原性が高いことが知られるようになり,免疫不活化経路阻害は,TNBC に対する新たな治療戦略として有望視されている.一方,近年の全ゲノム遺伝子発現プロファイリング解析によってTNBCの分子サブタイプが複数存在することが報告された.本研究では,TNBC におけるこの多様性に着目して,TNBC に対する独自の遺伝子パネルを作成し,各々の分子サブタイプで効果が期待できる薬剤を新たな免疫不活化阻害分子(分子X)と共に用いるといった免疫療法を主軸においた新たなTNBC の個別化治療の礎を構築することを目的とした.新規T 細胞 Negative Signal 分子と想定されるHVEM/BTLA-LIGHT,CD155,CD200,CD160,Endothelin B receptor (ETBR),TIM-3,GAL-9について,TNBC切除標本を用いて発現を評価した.また,各分子の発現とCD45RO 陽性メモリーT 細胞を含む各種腫瘍内浸潤免疫担当細胞との相関及び,予後,再発形式,臨床病理学的因子との関連について解析した.TNBCサブタイプ分類のための遺伝子パネル作成に関して,BL (BL1 とBL2,基底細胞様),IM(immunomodulatory,免疫調節系),M (mesenchymal,間葉系),MSL (mesenchymal stem-like,間葉系幹細胞様),およびLAR (luminal androgen receptor,管腔アンドロゲン受容体) の5種類の分子サブタイプに特徴的な24遺伝子を全ゲノム遺伝子発現プロファイリング解析の結果より選抜し,独自の遺伝子パネル作成し,各々の分子サブタイプで効果が期待できる薬剤を分子Xと共に用いるといった免疫療法を主軸においた新たなTNBCの個別化治療の礎を構築することを目的とした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新規T 細胞 Negative Signal 分子と想定されるHVEM/BTLA-LIGHT, CD155,CD200,CD160,Endothelin B receptor (ETBR), TIM-3, GAL-9について, TNBC切除標本を用いた発現の評価は終了した.また,各分子の発現とCD45RO 陽性メモリーT 細胞を含む各種腫瘍内浸潤免疫担当細胞との相関及び,予後,再発形式,臨床病理学的因子との関連についての解析も終了しCD155,CD200に絞った.BL (BL1 とBL2,基底細胞様),IM (immunomodulatory,免疫調節系),M (mesenchymal,間葉系),MSL(mesenchymal stem-like,間葉系幹細胞様),LAR (luminal androgen receptor,管腔アンドロゲン受容体) の5種類の分子サブタイプに特徴的な24遺伝子の選抜に関して滞っており,現在大幅な見直しを行い再解析中である.
|
今後の研究の推進方策 |
BL (BL1 とBL2,基底細胞様),IM (immunomodulatory,免疫調節系),M (mesenchymal,間葉系),MSL(mesenchymal stem-like,間葉系幹細胞様),LAR (luminal androgen receptor,管腔アンドロゲン受容体) の5種類の分子サブタイプに特徴的な24遺伝子を再検討すると共に,新規T細胞Negative Signal分子CD155,CD200阻害によるin vivo抗腫瘍効果の検証を行うため各々のヒトTNBC細胞株(BL,IM,M,MSL,LARタイプ)をNOD.SCID免疫不全マウス に皮下移植し,CD155,CD200に対するモノクローナル阻害抗体及びsiRNA法による遺伝子ノックダウンにてシグナル伝達阻害を行い,腫瘍縮小効果を評価する.次に,各々のサブタイプで効果が期待できる既存薬剤であるPARP阻害薬,EGFR阻害剤,CDK4/6阻害薬をCD155,CD200に上乗せし,相乗効果を認める組み合わせのスクリーニングを行う.最終的にマウス乳癌細胞株を用いた新規T細胞Negative Signal分子CD155,CD200阻害によるin vivo 抗腫瘍効果の検証及び特異的免疫誘導に関する検討を行い本研究を完遂させる.
|