研究課題/領域番号 |
21K08666
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
今村 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40456976)
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研究分担者 |
谷口 歩 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10845225)
野々村 祝夫 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30263263)
難波 倫子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30734420)
阿部 豊文 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90750894)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腎移植 / 抗体関連型拒絶反応 / ペプチド / バイオマーカー / 質量分析 / BLOTCHIP-MS / 診断方法 |
研究実績の概要 |
腎移植後の長期生着に影響するnegative factorとして、抗体関連型拒絶反応(antibody-mediated rejection, 以下AMR)が挙げられる。これは抗ドナー抗体(Donor-specific antibody, 以下DSA)の産生により惹起され、急性AMRであれば若干の治療法はあるものの、慢性期に発症した場合は十分な治療法がいまだ確立されていない。したがってAMR発症直前または直後の段階で血中のDSA産生を確認し、治療介入することが重要である一方、早期では産生されたDSAは移植腎に吸着し血中を循環しないため、その有無を同定することが極めて困難である。つまり血中DSA産生を早期に確認しうる新たなバイオマーカーの確立が求められている。 我々はBLOTCHIP-MS法を用いて、疾患が発症したことにより血中に放出されるペプチドを同定することにより、DSA産生やAMRの診断にも応用が可能か検討した。なお、本手法はすでに妊娠高血圧および大腸癌のモニタリング方法として報告されている。 我々は腎移植患者の血清のうち、①DSA(+)AMR(+)例、②DSA(+)AMR(-)例、③DSA(-)AMR(-)例をランダムに抽出し、特異的ペプチド発現の有無を測定した。その結果、DSA産生時はFibrinogen alpha chainとKininogen1が連動して増減することが確認できた。つまりこの2つのペプチドを測定することにより、AMR発症直前のearly phaseまたはAMR発症後のactivation phaseの確認もできることが証明され、AMR発症早期診断のバイオマーカーとなりうることを見出した。 我々はこの結果を検証するため、現在validation study群においてさらに症例数を追加し、解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先般のCOVID-19感染患者の増加もあり、一時的に腎移植手術数を著しく減少させることとなった。その影響でvalidation cohortとしうる抗体関連型拒絶反応の患者数が確保できなかった。緩徐に検討可能患者数は確保できるようになっており、研究は進んでいくものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Validation cohortとしうる抗体関連型拒絶反応の患者数は緩徐に確保できるようになっており研究自体は進行していくものと思われるが、万一患者数が確保できなかった場合は、近隣の腎移植実施施設からサンプルを提供してもらい、研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象となる腎移植後抗体関連型拒絶反応を発症している患者および患者サンプルを確保できず、次年度使用額が生じた。 徐々に患者数は確保できるようになっており、このまま研究は継続し、十分なサンプル数を確保した時点で質量分析等を速やかに実施する予定である。次年度使用額は質量分析機器の計測費用および同試薬費用に充当する予定である。
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