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2021 年度 実施状況報告書

抗ドナー特異的HLA抗体産生ヒト化マウスによる抗体関連型拒絶反応の解析と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K08669
研究機関広島大学

研究代表者

田原 裕之  広島大学, 病院(医), 助教 (30423354)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードヒト化マウス
研究実績の概要

MHC DKO NSGマウスを用いた抗ドナー特異的抗体産生ヒト化マウスモデルの作製
前年度までに確立したHLA抗体産生ヒト化マウスにおいて、in vitro混合培養中に抗ドナー特異的HLA抗体産生を抑制するシグナル(PD1-PDL1)の存在が示唆され、PD-L1抗体添加で抗ドナー特異的HLA抗体産生は一部のマウスで得られたが再現性に乏しかったため、今年度はヒト化マウスを改良するため、マウスMHC ClassI及びClassIIをダブルノックアウトしたNSGマウス(MHC DKO NSGマウス)を用いた。MHC DKO NSGマウスへのヒト細胞移入は予想通り通常のNSGマウスと比べB細胞が長期間保持され、またGVHDを生じにくいことから長期間生存したが、ヒト免疫担当細胞のキメラ率はNSGヒト化マウスよりも明らかに低率であった。
このMHC DKO NSGマウスに、まずレシピエントおよびドナー末梢血をマウス脾臓内静注し、Day1にドナーPBMCを追加免疫投与し、抗ドナー特異的HLA抗体測定を行ったところ、十分量なヒトTotal IgG産生は確認できたが、抗ドナー特異的HLA抗体産生は安定した産生が得られなかったが、一部のMHC DKO NSGヒト化マウスで目的のドナー特異的HLA抗体産生が確認できた。
ヒトPBMCの組み合わせを異にしてもドナーHLA抗原抗体産生が確認できるか、現在症例を蓄積し、11パターンの組み合わせで抗HLA抗体産生を確認している。
また、、in vitro混合培養中に抗ドナー特異的HLA抗体産生を抑制するシグナル(PD1-PDL1)の存在が示唆された前回までの研究結果を再現するため、PD-L1抗体添加で抗ドナー特異的HLA抗体産生を確認したところ、やはり一部のマウスでのみ抗ドナー特異的抗体の確認が得られた一方でその再現性に乏しかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト化マウスモデルの改良により、前年度まで達成困難であった、抗ドナー特異的HLA抗体産生が一部ながら確認することができた。この事象をより安定したモデルとするために、抗体産生促進物質(ヒトサイトカインなど)の投与付加を試みる。
また、ヒト化マウス体内でヒトPBMCが抗体産生に至る抗体産生メカニズムを解明するためにヒト化マウス脾臓・骨髄・末梢血中の抗体産生細胞フェノタイプの解析が行えていなかったため今年度に施行する予定である。

今後の研究の推進方策

このMHC DKO NSGマウスに可溶性ヒトCD40リガンドを投与下にレシピエント末梢血を静注し、Day1にドナーPBMCをヒト抗PD-L1抗体と共に脾臓内投与し、以降ドナーPBMC抗原暴露を複数回行い、抗ドナー特異的HLA抗体産生誘導を試みる。目的とする抗体産生が得られない場合は、抗体産生細胞分化に必要なサイトカインを添加する。遺伝子相同性検索プログラムBLASTでデータベース検索したマウスサイトカインのうちヒトへ機能性を示さず遺伝子相同性が低い、ヒト抗体産生促進因子(IL-4, IL-6, IL-15, IL-21, TACI(transmembrane activator and cyclophilin ligand interactor)-Ig)を漸次in vivo投与しドナー特異的HLA抗体産生を試みる。抗体産生形質細胞分化に必要なIL-6とIL-21は特に重要であると考えている。さらにはドナー末梢血上のHLA抗原がレシピエント細胞に十分に認識されていない可能性を考え、ドナー末梢血をConcanavalin Aで刺激しHLA抗原発現を増強させた状態でのin vivo抗原暴露投与を考慮する。こうして目的のドナー特異的HLA抗体産生ヒト化マウスが安定して作製できれば、ヒト化マウス中の各組織(骨髄・脾臓・腹腔内・リンパ節)からB細胞フェノタイプ(記憶B細胞・形質細胞・制御性B細胞)をFlowcytometryやFACS Aria セルソーターで解析し抗体産生細胞を特定し、合成HLAペンタマーを用いたELISPOT法で抗原特異的HLA抗体産生B細胞の同定および機能解析を行う

次年度使用額が生じた理由

当初計画していたヒト化マウスへ抗体産生促進ヒトサイトカイン投与モデルまで、十分に研究が進捗できなかったため、次年度にヒトサイトカイン(IL4, IL6, IL21)や抗体産生促進物質(ヒトBAFF, ヒトTACIIg)を購入するため、差額が生じた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a humanized mouse model to analyze antibodies specific for human leukocyte antigen (HLA)2021

    • 著者名/発表者名
      Senichiro Yanagawa, Hiroyuki Tahara, Takayuki Shirouzu, Shintaro Kawai, Yuka Tanaka, Kentaro Ide, Shuji Akimoto, Hideki Ohdan
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 16(2) ページ: e0236614

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0236614.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] HLA抗原特異的抗体産生ヒト化マウスモデル作製の試み2022

    • 著者名/発表者名
      築山尚史、田原裕之、大段秀樹
    • 学会等名
      日本異種移植研究会

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公開日: 2022-12-28  

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