研究課題
本研究の目的は乳癌の新規治療法開発のために、「乳癌線維化」に着目し「①Hedgehog(Hh)シグナル阻害剤が乳癌の線維化を抑制できるか、それに伴い②リンパ球組織浸潤が促進され免疫監視機構が構築でき、抗腫瘍効果が増強されるか」を検証することである。本年度は、まず、昨年度より継続して、In vitroにおいて、Hhシグナルの活性化が分かっているMCF-7との共培養における線維芽細胞(TIG)の線維化への影響を今回はMCF-7の培養上清を用いて検討した。TIGにHh阻害剤:シクロパミンを投与した場合、TIGに、シクロパミンを加え培養したMCF-7の培養上清を添加した場合を検討したが、シクロパミンの投与は、MCF-7との共培養においては、繊維芽細胞の線維化に大きな影響を及ぼさないことが分かった。膵癌とは違って、乳がん細胞株MCF-7では、Hh阻害剤による線維化抑制は軽度である可能性が考えられた。今後は、さらに数種類の乳がん(硬癌)細胞株あるいは臨床検体、Hh阻害剤を使用して、繊維芽細胞の線維化への影響を確認する予定としている。一方で、細胞傷害性リンパ球(alloCTL)作成も本研究の重要なfactorであり、末梢血単核球から活性化リンパ球、樹状細胞、細胞傷害性リンパ球が実際に誘導できるか検証した。CTLはHLAの拘束性が必要であり、HLAが分かっている肺扁平上皮癌細胞株Sq-1(HLA-A24)を標的細胞として、HLA-A24拘束性のalloCTLを誘導してみることとした。その結果、首尾よく、Sq-1を認識するHLA-A24拘束性のalloCTLが誘導できることが分かった。今後はがん線維化抑制の実験系がうまく確立できれば、マウスを用いてすぐに実験が開始できる予定となっている。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (14件)
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