研究課題/領域番号 |
21K08674
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
近藤 琢也 九州大学, 医学研究院, 助教 (00644725)
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研究分担者 |
永田 公二 九州大学, 大学病院, 講師 (20419568)
桐野 浩輔 九州大学, 大学病院, その他 (00621707) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 横隔膜ヘルニア / MMIHS / microinjection |
研究実績の概要 |
横隔膜に欠損孔を形成する疾患である横隔膜ヘルニアの欠損孔発生の機序や筋の発生機所を探るべく、筋肉の先天的欠損もしくは発生異常を伴うゼブラフィッ シュモデルを作成し、評価することで、筋肉の発生機序に関する分子メカニズムをin vivoで解明し、最適な疾患モデルを開発し、最終的には新たな薬剤プラットフォームを作成する事を目標としている。 平滑筋形成不全モデル作成では、腸管機能不全の一つであるMMIHSの原因遺伝子として、主にLMOD1をターゲットとした。ゼブラフィッシュの受精卵にmicroinjectionを行うことでCRISPR/Cas9法でLMOD1遺伝子の欠失を引き起こし、この受精卵を育成した稚魚の腸管蠕動の評価を行った。蛍光飼料を摂取させてその排泄割合を評価するGut Transit Assay、および、腸管蠕動を動画に収めて蠕動速度や頻度を評価するSpatiotemporal Mappingの2つの評価方法において遺伝子欠失を起こした個体において排泄率の低下、および、腸管蠕動速度の低下を認めた。 また、骨格筋発生機序の解明の一環として、筋前駆細胞の制御により筋形成に関わっているPax7の挙動の追跡を試みた。具体的にはPax7と共発現できるようにGFP遺伝子を挿入するモデルをmicroinjectionにより作成し、成長に伴ったPax7発現細胞の挙動の追跡を試みている。現在、挿入におけるCRISPR/Cas9のtarget sightの絞り込みを行い、有力な2箇所を同定した。今後、GFP遺伝子配列を持つDNA二重鎖とともにmicroinjectionを行い、モデルを作成、評価していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年の段階で飼育環境整備に時間を要している状況であった。腸管不全モデルとしてLMOD1以外にもEDNRbなどの遺伝子を候補としてCRISPR/Cas9法による遺伝子欠失を試みたが、稚魚の致死率が高く、生存した稚魚においてもphenotypeの同定に至らなかった。結果的に進捗としてモデル作成が遅延する結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
平滑筋形成不全モデルにおいては、LMOD1欠失モデルの育成・継代を行い、homozygousのモデル作成を行う。先に挙げた腸管蠕動評価をhomozygous個体で再評価するとともに、qPCRやWestern blotで平滑筋の関連遺伝子・タンパク質の発現(平滑筋の構成に関わるαSMAやMYH11、平滑筋発生に関わるMyoD、消化管神経発生に関わるc-kitを候補として考えている)への影響の有無を評価する。さらに、免疫蛍光染色による病理学的な評価(マウスではSMA層が菲薄化しているとの報告がある)も行う予定である。 骨格筋発生機序の解明においてはPax7 導入モデルにおいてWild typeにおけるPax7陽性細胞の挙動を評価する。筋肉の発生において、Pax7は筋衛星細胞、Tcf4は間葉系幹細胞との関連性が報告されており、今後はTcf4においてもPax7同様に蛍光タンパクを共発現できるように遺伝子挿入をしたモデルを作成する予定である。これらのPax7導入モデル、Tcf4導入モデルに、microinjectionによるCDHの原因遺伝子(gata6など)の欠失を起こさせ、筋発生におけるPax7陽性細胞、Tcf4陽性細胞の挙動をWild typeと比較を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゼブラフィッシュの遺伝子欠失モデル作成において、遺伝子欠失ゼブラフィッシュの稚魚の致死率が高く、生存した稚魚においてもphenotypeの同定に至っていない。結果的に進捗としてモデル作成が遅延したため。 使用計画:ゼブラフィッシュ飼育に伴う消耗品、抗体、試薬
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