研究課題/領域番号 |
21K08687
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小澄 敬祐 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (50594884)
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研究分担者 |
馬場 祥史 熊本大学, 病院, 特任准教授 (20599708)
原田 和人 熊本大学, 病院, 特任助教 (70608869)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 消化器癌 / がん代謝 / 腫瘍免疫 / マイクロバイオーム / ドラッグリポジショニング / 既存薬再開発 / 腫瘍微小環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日米(熊本大学消化器外科学・Brigham and Women’s Hospital, USA)の消化器癌データベースを対象に、がん代謝・腫瘍免疫・マイクロバイオームを標的とした新規治療法・癌予防法をドラッグリポジショニング(Drug repositioning, 既存薬再開発)により開発することである。 熊本大学消化器外科学で手術した食道癌臨床検体300例を対象に研究を開始した。食道癌においてマイクロバイオームは癌進展に関連している可能性があり、中でもFusobacterium nucleatumは大きな注目を集めている。FFPEより抽出した食道癌癌部DNAを用い、qPCRでF. nucleatum量を測定した。また、実臨床において免疫治療は標準治療の一つとなっている。免疫関連マーカーとして注目されるPDCD1 (PD-1)、CD274 (PD-L1)、PDCD1LG2 (PD-L2)、IDO1を免疫染色法で評価した。F. nucleatumと免疫関連マーカーの関連を解析した。その結果、F. nucleatumはいずれとも有意な相関を示さなかった。F. nucleatumは腫瘍微小環境において宿主の免疫を減弱させている可能性が報告されているが、今回の解析でその機序は明らかにできなかった。また、F. nucleatum 腫瘍内peritumoral lymphocytic reactionと逆相関を占めすことをこれまでの研究によって明らかにしており論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熊本大学、Dana-Farber Cancer Instituteの双方で、それぞれが得意とする研究分野及び研究手法により研究を遂行している。食道癌切除標本における腫瘍免疫関連マーカーとして、PDCD1 (PD-1)、CD274 (PD-L1)、PDCD1LG2 (PD-L2)、IDO1の評価を行い、Fusobacterium nucleatumとの関連解析を行った。そして、現段階での研究結果を報告した。また、Dana-Farber Cancer Instituteとの国際共同研究では、大腸癌臨床検体におけるBacteroides fragilis toxinの測定方法の確立し、今後大規模な前向きコホートデータベースから発生した大腸癌サンプルでの測定を目指して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
様々なマーカーの測定及びそれらを含めたデータベースの構築を目指す。その後、様々な臨床情報・薬剤情報・生活情報と統合解析を行う。臨床検体を用いた統合解析による結果を検証すべく、消化器癌細胞株を用いた基礎研究によって詳細な機能解析を行う。がん代謝・腫瘍免疫・マイクロバイオームを標的とした新規治療法・癌予防法をドラッグリポジショニング(Drug repositioning, 既存薬再開発)により開発することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。また、旅費については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により学会開催形式がハイブリッド開催へ変更となる事が多く出張が減った為、未使用額が生じた。
使用計画:試薬、消耗品の購入費に充てたいと考える。また、試薬、消耗品の購入及び研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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