研究課題
大型3 型/4 型胃癌を含む局所進行胃癌の治療成績は不良であり,術前補助化学療法(NAC)による改善が期待されている。申請者らは,これらの胃癌に対するNAC として最適なレジメンとコース数の探索を目的としたランダム化第II 相比較試験「COMPASS-D 試験」を多施設共同試験で行なった。そこでわれわれは,胃癌患者ごとにより治療効果の高いNACのレジメンが存在するのではないかとの仮説を立て,NAC投与前にバイオマーカーによってそれを予測できれば,予測に基づいたNAC の個別化治療の実施により,さらなる治療成績の向上が期待できると着想した。そこで本研究は,COMPASS-D 試験の附随研究としてNACのレジメン奏効の指標となるバイオマーカーを探索し,コンパニオン診断を可能にしてNACの個別化治療を目指す。現在、「NAC 施行前に内視鏡で生検した癌組織」のFFPE 切片より癌部のみをmanual dissection にて削り取り,mRNAを抽出する。定量PCR 法にて127 遺伝子のうち約半数の発現量を定量し,レジメンごとにそれらのカットオフ値を可変とした2つのサブグループと各症例の病理学的効果との交互作用を解析し,有意水準1%で有意となる遺伝子をNAC のレジメン選択マーカーとして同定した。今後、定量PCR 法にて計画していた127 遺伝子のうち残りの約半数の遺伝子の発現量を定量する。さらに、「NAC 施行後の手術によって得られた(遺残した)癌組織」の遺伝子発現を1 と同様に定量し,1 の「NAC 施行前に内視鏡で生検した癌組織」の遺伝子発現と比較し,病理学的奏効が得られる場合に発現量が変動する遺伝子を探索する。また,病理学的効果を予測するバイオマーカーのNAC 前後の変動,および,NAC のレジメンの代謝/標的遺伝子との関連性を明らかにする。
2: おおむね順調に進展している
今後同定した遺伝子の臨床的意義に関してさらなる検討を行う
術前補助化学療法(NAC)の効果予測マーカーの同定:「NAC 施行前に内視鏡で生検した癌組織」のFFPE 切片より癌部のみをmanual dissection にて削り取り,mRNAを抽出した。定量PCR 法にて計画していた127 遺伝子のうち残りの約半数の遺伝子の発現量を定量する。NAC 前後の癌組織における遺伝子発現の比較:「NAC 施行後の手術によって得られた(遺残した)癌組織」の遺伝子発現を1 と同様に定量し,1 の「NAC 施行前に内視鏡で生検した癌組織」の遺伝子発現と比較し,病理学的奏効が得られる場合に発現量が変動する遺伝子を探索する。また,病理学的効果を予測するバイオマーカーのNAC 前後の変動,および,NAC のレジメンの代謝/標的遺伝子との関連性を明らかにする。
今年度はコロナ感染症の影響で学会参加ができなかったため、旅費の発生がなかった。次年度の学会参加費用として使用する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件)
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