研究課題
本研究は肝硬変や肝線維症、腎硬化症などの慢性炎症の結果生じる臓器線維化による機能不全に対する新規治療法の開発を目指したものである。我々はS-アリルシ ステイン(SAC)およびS-アリルグルタチオン(SAG)のマクロファージ分極抑制を介した臓器線維化の抑制効果を報告してきたが、さらに安全で、安定 性、有効性の高い物質を合成することを目的としている。2021年度に続き2022年度は、SACおよびSAGをリード化合物として理論的に有効であると考えられ るさらに5種類に新規化合物を合成した。これらの化合物の安定性を確認の上、2021年度に作成した3種の物質と合わせて8種類の物質についてマクロファージのM1およびM2への分極に対する抑制効果を比較検討した。ラット骨髄由来のマクロファージを採取・培養し、上清への添加によりマクロファージの分極誘導における抑制効果を確認したところ、2021年度に有効性を確認したX-3(仮称)と2022年度に作成したY-1(仮称)にその他の化合物に比し高い有効性を確認した。この 二種類の物質に絞り、マクロファージに対する指摘濃度およびその上清の肝星細胞への有効倍率を確認し、生体内で実現しうる反応であることを確認してきた。本年度はX-3及びY-1を添加したマクロファージの培養上清を添加することによる星細胞への影響並びに線維素産生抑制効果を継続して解析した。現在、動物実験に向けて大量合成を計画中であり、肝線維化モデル動物に対して経口投与し、N-アセチルシステインやその他の既知物質の肝線維化抑制効果および肝硬変改善効果との比較を検討している状態である。
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J Clin Biochem Nutr
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Radiology Case Reports
巻: 18 ページ: 3037~3040
10.1016/j.radcr.2023.06.012