研究課題/領域番号 |
21K08691
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (30398458)
|
研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 学長特命教員(特別顧問) (20191190) [辞退]
水本 有紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60596980) [辞退]
岩本 博光 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60756592)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / 繊維性癌間質 / アスピリン |
研究実績の概要 |
本研究は、癌繊維間質(Desmoplastic reaction:DR)を形態学的に3分類に分け、その中で予後不良とされている未熟なDRを示すものに対してアスピリンを使用することで、癌周囲環境を変化させ、免疫チェックポイント阻害剤の有効性を高めることを検討することを主目的としている。まず最初に、癌における免疫応答関連分子であるMSIとDRの関係性を検討した。MSIは測定135例中8例(6.4%)に陽性で、そのうち4例がmucinous typeであり, 2例にTIL浸潤を認めた。同時に免疫チェックポイント相互作用に関わる分子機構であるTIGIT/CD155に関しての検討も行った。TIGIT/CD155は共に免疫染色で検討し、50%以上の腫瘍細胞で染色されるものをCD155陽性とし、リンパ球の10%以上が染色されるものをTIGIT陽性として解析した。TIGIT/CD155が共に陽性となる症例は現在までの100例の検討では64例に認めた。両方が陽性となるものの臨床病理学的な特徴は現在のところ示されていない。全身の免疫応答にも関わる可能性のあるNLR(好中球リンパ球比率)やLMR(リンパ球単球比率)との関連性は示さなかったため、新たな独立した免疫応答の指標と考えられた。生存率に関しては、TIGT/CD155陽性例で悪い傾向を得ているため、同メカニズムが大腸癌においても原らいている可能性が示される。今後はMSI陽性腫瘍、TIGIT/CD155経路の陽性症例でのDRとの関連性を検討することを計画するとともに、腫瘍でのPGE2発減量とDR分類との関連性を検討する。最終年度はDRとMSI, TIGIT/CD155、PGE2の関連性を検討することでアスピリンで免疫チェックポイント阻害剤の効果が増強されうるかに関して検討していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト大腸癌腫瘍検体からのPGE2測定が計画的に進んでいない。今後は測定の精度、検体の選別に検討が必要と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト大腸癌腫瘍組織での腫瘍周囲免疫微小環境の評価の確立が必要と考えます。
|
次年度使用額が生じた理由 |
概ね使用計画額と合致しますが、一部の抗体においては、共同使用により支出額が軽減されたものと考えます。
|