研究課題
原発巣でのがん先進部における線維化ががんの進展、転移に重要な役割を果たしているだけでなく、大腸癌の転移リンパ節における間質の線維化が予後不良因子であり、転移リンパ節の間質で増殖した細胞の多くが細網線維芽細胞(Fibroblastic reticular cell; FRC)であることを報告した (D Ikuta, M Tani et al, Oncotarget 2018)。このことは転移リンパ節においてFRCとがん細胞の相互作用が予後因子として重要であることを示唆するが、がん細胞に対する分子生物学的機序は未だ明らかではない。今回、胃癌患者の切除直後の臨床検体から胃もしくは大腸の正常組織と癌組織、転移リンパ節組織を採取し、採取した各検体を細かく裁断し、コラゲナーゼとDNase Iを用いて溶解して培養器に播種し、増殖と継代を行い、10回以上継代可能な細胞株の第6代培養までを実験に用いた。胃癌切除患者の臨床検体から採取した線維芽細胞については、正常部分と腫瘍部分からそれぞれ2例の線維芽細胞と、転移リンパ節から1例のFRCの細胞株樹立に成功し、大腸癌切除患者の臨床検体から採取した線維芽細胞については、正常部分から3例、腫瘍部分から2例の線維芽細胞と、転移リンパ節から2例のFRCの細胞株樹立に成功した。今後これらの線維芽細胞およびFRCを用いて、遺伝子解析や癌細胞との相互作用の実験を進めていく。
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