• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

食道癌において口腔内および食道内細菌叢がどのように影響するか?

研究課題

研究課題/領域番号 21K08710
研究機関広島大学

研究代表者

恵美 学  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30464308)

研究分担者 西 裕美  広島大学, 病院(歯), 助教 (70403558)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード食道癌 / 口腔内細菌叢 / 細菌叢
研究実績の概要

本研究では口腔内および食道内に存在する細菌叢を解析し、食道癌手術の合併症における影響および食道癌の悪性度や術前治療に対する耐性への関与を解明することを目的とする。手術を受ける食道癌患者の口腔内、食道正常粘膜および腫瘍組織における細菌叢を次世代シークエンサーにて網羅的に解析し、・術前治療の奏功率や臨床病期と相関を認める菌群や術後肺炎に関与する菌群を同定・さらにこの菌が抗癌剤感受性や腫瘍免疫に関与することをin vitroにおいて腫瘍免疫における観点およびアポトーシスにおける観点の両方からその機序を解明していくことを目的としている。
①解析の進捗状況:食道癌治療前における歯科治療の際に患者の舌苔、唾液を採取し次世代シークエンサー(NGS)を用い16SリボソームRNA解析を現在123検体でおこなった。さらに食道手術切除標本から正常粘膜、腫瘍組織を採取し同様にNGSを用いて123検体で解析をおこなった。
②解析の現時点での結果:口腔内細菌叢と食道内細菌叢の類似性は示せており、さらに嫌気性グラム陰性菌フソバクテリウム・ヌクレアタム(F. nucleatum)が腫瘍組織内に多く含まれている症例が術前治療不応例に多い可能性が示唆された。
③過去の食道癌手術患者307例の血液サンプルからF. nucleatumの血清抗体価を測定し、抗体価が高い群は臨床病期などの背景に差は認めないにもかかわらず有意に予後が不良であることが明らかとなった。さらに血清抗体価と口腔内および食道組織内のF. nucleatumの発現との相関を現在検討中である。
④肺炎合併症例と非合併症例における口腔内細菌叢はNGSによってclass(網)レベルで異なる傾向を認め、αおよびβ多様性も異なる傾向が確認できている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

食道癌術前治療前、術前治療後における口腔内および切除標本組織におけるNGSによる細菌叢の網羅的解析は順調に進んでいる。
ただし得られたデータは膨大であり、解釈に関しては現在も検討中である。肺炎に関与する口腔内細菌叢は網レベルではActinobacteriaを多く認め、αおよびβ多様性を有意に認める傾向は示せた。
F. nucleatumの血清抗体価は高値の群で有意に予後が不良であることがわかり、現在論文を作成し投稿予定である。

今後の研究の推進方策

肺炎以外にも術前治療奏功群、非奏功群における口腔内および食道内細菌叢をNGSで得られたデータを用い、引き続き解析を続けていく。
ただしNGSによるデータは膨大であり、解析解釈が非常に困難であることから、現在治療効果に関与していることが明らかになっているF. nucleatum自体にも着目、食道腫瘍組織から採取したF. nucleatumの培養を行ったところ多くの組織で培養に成功した。培養できたF. nucleatumをサンプルごとに亜種の同定をすすめていき、亜種による治療効果への関与に関して解析をすすめていく。

次年度使用額が生じた理由

理由:細菌叢解析においてNGS以外の手法における解析が進んでいないこと、コロナの影響にて学会発表の多くはリモートでおこなっていないことが理由と考えられる
使用計画:NGS以外にもPCRやウエスタンブロッティング法および腫瘍組織ね免疫染色など解析の種類を拡げていきながら検討していきたい

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Fusobacterium nucleatumの血清抗体価と予後-亜種の違いによる臨床的特徴の検討2022

    • 著者名/発表者名
      吉川徹
    • 学会等名
      第76回日本食道学会
  • [学会発表] 食道癌手術症例において歯の欠損数は予後と相関するか2022

    • 著者名/発表者名
      恵美学
    • 学会等名
      第123回日本外科学会定期学術集会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi