研究課題/領域番号 |
21K08711
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
硲 彰一 山口大学, 医学部, 教授(連携講座) (50253159)
|
研究分担者 |
永野 浩昭 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294050)
鈴木 伸明 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50526910)
松井 洋人 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60780781)
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
荒木 令江 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (80253722)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 癌 |
研究実績の概要 |
消化器癌では免疫チェックポイント阻害剤の効果が限定的である。その原因として癌微小環境における抑制性免疫と腫瘍の抗原性の低さが挙げられる。本研究では、宿主の腫瘍抗原認識を高め、腫瘍をhot tumorに変化させて免疫チェックポイント阻害剤の効果を上げるため、癌変異に由来するネオアンチゲン由来ペプチドを同定する方法を確立する。腫瘍と正常組織の全エクソン解析とRNAシークエンスを行い、アミノ酸変異をきたす遺伝子変異とRNA発現からネオアンチゲン候補となる変異を抽出し、独自の人工知能技術を応用してHLAに高い結合能を有するペプチドを予測する。本研究により、全く新しい消化器癌変異由来ペプチドの同定が可能となり、抗PD1/PD-L1抗体を含めた斬新な複合免疫療法を確立する。 倫理委員会で承認を得た試験計画に基づき文書で同意を得た患者のうち、消化器癌30例 (大腸癌原発巣10例、大腸癌肝転移巣9例、胃癌8例、肝細胞癌13例、胆道癌3例、食道癌5例、膵癌3例) について、凍結腫瘍組織並びに末梢血リンパ球を用いて全エクソン解析とRNAシークエンスを行った。遺伝子変異の多いMSI-high腫瘍は3例であった。Tumor mutation burdenを算出したところ、MSI-highの3例はTMB>30、それ以外はTMB<15であった。癌腫ごとのTMBの傾向は概ね既報通りであった。全エクソン解析とRNA-seq解析を統合して各症例におけるネオアンチゲン候補の探索を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
消化器癌30例 (大腸癌原発巣10例、大腸癌肝転移巣9例、胃癌8例、肝細胞癌13例、胆道癌3例、食道癌5例、膵癌3例) のエクソームシーケンスとRNA-seqを完了した。
|
今後の研究の推進方策 |
コーディング領域RNA由来ネオアンチゲンの同定は、エクソン領域のアミノ酸変異を伴う遺伝子変異のうちRNAシークエンスにより遺伝子発現が高いタンパクに絞り、さらにHLA結合能予測システムにより高いClass I結合能を持つネオアンチゲン由来ペプチド候補を選択する。さらに、選ばれた候補ペプチドを合成し、患者PBMCを用いてELISPOT assayを行い、実際に患者の血中に腫瘍抗原を認識するリンパ球が存在することを確認する。また、候補ペプチドをヒト化HLAトランスジェニックマウスに投与し、所属リンパ節リンパ球を用いてELISPOT assayを行い、抗原特異的免疫誘導能を確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンス解析の試薬類について、本研究開始前からの在庫を使用することができたため、支出額を減らすことができた。次年度にてELISpotアッセイに係る試薬に充当して解析回数を増やす。
|