研究課題/領域番号 |
21K08717
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岡田 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50407988)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 学長特命教員(特別顧問) (20191190)
幸田 剣 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20433352)
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40398459)
廣野 誠子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60468288)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動ストレス |
研究実績の概要 |
近年,運動療法そのものがエピネフリン・IL-6に依存性のNK(Natural Killer)細胞の動・再分配を促して癌の進行と再発を著明に抑制することが動物実験において証明されたことに注目して、膵癌に対する外科的切除と補助化学療法の効果を最大限に引き出すために,運動療法そのものがもつ直接的抗腫瘍効果と癌細胞における薬物輸送体群の発現を制御・同期化させる新規治療のメカニズムを分子生物学的に解明・構築することが本研究の目的である.そこで、我々のグループはこの現象を担癌患者の運動療法においても再現・確認し、これまでに10名の患者に対し、NK細胞活性のピークと抗がん剤血中濃度のピークを測定解析した.今後、今回確認した現象の再現性を証明すべく、運動療法ストレスの抗腫瘍効果と癌細胞における薬物輸送体群の発現をシンクロナイズドさせた新規膵癌補助化学療法の方法論を確立する.さらに本療法は抗腫瘍効果の増強のみならず全生存期間・無増悪生存期間の改善をもたらすと期待されるので、次のステップとして、実地臨床での有効性を明らかにすべく、その方法論を盛り込んだ前向き介入研究のプロトコール作成し施行した. 本実験では, 担癌患者において運動ストレスで薬物輸送体を制御させる薬物暴露実験を臨床検体で調べており、担癌患者において同現象が再現するための臨床研究を行い,そのデータを有しつつある. 一方で運動ストレスが能動的に薬物輸送体の任意概日周期を体内で再現できるバイオクロックを構築し,運動療法ストレスの抗腫瘍効果と癌細胞における薬物輸送体群の発現を制御・同期化させることよって相乗効果を産み出す分子生物学的根拠を明らかにできないかについても研究・解析を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始2年で、10名の担癌患者から同意を得て、血液データの解析に進み、運動ストレスによるNK細胞活性のピークと抗がん剤治療の血中濃度ピークの同期できる可能性につき確認できた。さらに運動療法のプロトコールを作成し、担癌患者において同現象の効果などによって補助化学療法の完遂率が向上するかを検証する臨床研究を終了し、論文報告した。またこれらの臨床研究成果を学会報告した。
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今後の研究の推進方策 |
本試験の基礎的解析の結果、運動ストレスによるNK細胞活性のピークと抗がん剤治療中の抗がん剤血中濃度ピーク値に同期させるタイミングを明らかにしたのち、そのタイミングをプロトコールに盛り込んだ、運動療法併用膵癌補助化学療法の有効性に関する前向き介入研究のプロトコールを早急に完成させ、実臨床における有効性に関し臨床研究を行った。しかし、運動療法によるストレスのためには、強度な運動が必要であることが課題となったため、今後Vertial Reality技術を併用した実現可能性の研究計画を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度内に10名の患者登録を完了し、検体採取・データ解析に進めたが、コロナ禍における通常臨床以外の研究への協力について、想像以上に辞退するケースが多く、予定した額のとおり検体採取・解析に予算を執行できなかった。しかし、最終的に目標症例数に達し、試験終了できたので、当初の予定通り使用する予定である。
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