研究課題
近年,運動療法そのものがエピネフリン・IL-6に依存性のNK(Natural Killer)細胞の動員・再分配を促して癌の進行と再発を著明に抑制することが動物実験において証明されたことに注目して、膵癌に対する外科的切除と補助化学療法の効果を最大限に引き出すために、運動療法そのものがもつ直接的抗腫瘍効果と癌細胞における薬物輸送体群を制御・同期化させる新規治療のメカニズムを分子生物学的に解明・構築することが本研究の目的である。そこで、我々のグループはこの動物実験の現象を10名の担癌患者の運動療法においても再現・確認し、NK細胞活性ピークと抗がん剤血中濃度のピークを測定解析した。次に、今回確認した現象の再現性を証明すべく、運動療法ストレスの抗腫瘍効果と癌細胞における薬物輸送体群の発現をシンクロナイズドさせた新規膵癌補助化学療法の方法論を確立すべく、その朝抗がん剤内服後の運動療法を取り入れた前向き介入研究プロトコールを作成し施行した。本実験によって、担癌患者において運動ストレスで薬物輸送体を制御させる薬物暴露実験を臨床検体(血液)で調べ、薬物輸送体の動態が運動直後に活性化し、担癌患者においても同現象が再現できることを確認した。一方で、運動ストレスが能動的に薬物輸送体の任意概日周期を体内で再現できるバイオロックを構築できる可能性があることは示唆されたが、運動療法ストレスの抗腫瘍効果と癌細胞における薬物輸送体群の発現を制御・同期化させることによって相乗効果を生み出す分子生物学的根拠を明らかにすることはできなかった。
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Ann Gastroenterol Surg.
巻: 7 ページ: 997-1008
10.1002/ags3.12712.