研究課題/領域番号 |
21K08721
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
隈本 力 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90834820)
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研究分担者 |
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
児玉 典彦 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40278833)
篠原 尚 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70319549)
倉橋 康典 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10834822)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 食道癌手術 / 嚥下機能 / 不顕性誤嚥 / 肺炎 / リハビリテーション / 神経干渉波刺激装置 |
研究実績の概要 |
食道癌術後には嚥下反射と咳嗽反射が低下するため、不顕性誤嚥が生じやすくなり、この併発が予後にも影響する。しかし、食道癌術後の嚥下機能と不顕性誤嚥の病態生理機序の解明はされておらず、術後リハビリテーションの確立もなされていない。本研究では、咳テスト、嚥下造影検査の結果を用いて食道癌術前後の嚥下運動と嚥下感覚を客観的に数値化し、術後の嚥下機能の変化と不顕性誤嚥の関係を検証することで、新規リハビリテーションの開発を行う。 咳テストは、超音波ネブライザーからクエン酸生理食塩水を1分間吸入し、誤嚥した際に咳が適切にでるか調べる検査である。嚥下造影検査は、X線でうつるように造影剤を含んだ水やトロミ水を用いて、これらを飲み込む様子を撮影し、ビデオに記録する。記録したデータより、各データ(咳の回数、Penetration aspiration scale、口腔通過時間、咽頭通過時間、咽頭期誘発遅延時間、喉頭挙上遅延時間、舌骨移動距離)を算出する。これにより食道癌術後の運動系および感覚系の嚥下機能を客観的に評価することができる。また、これら以外の要因による術後嚥下機能への影響を考慮するため、患者情報(年齢・性別等)、手術情報(手術時間、郭清範囲等)、術後経過(縫合不全、吻合部狭窄等)のデータ収集に加え、通常診療で使用されるMoca-J検査および反回神経検査も行う。これらの客観的データと術後の不顕性誤嚥との関連性を総合的に評価する。 当該年度においては、データベース、情報公開文・説明文書・同意書/同意撤回書、の作成を行い、本学の倫理審査承認を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「食道癌術後の嚥下機能評価と不顕性誤嚥の関係性」を調査するため、情報公開文・説明文書・同意書/同意撤回書、データベースの作成を行い、2021年度倫理審査の承認を経て研究開始予定であった。しかし、研究開始直前に、嚥下造影検査時にコロナ感染(濃厚接触)の事例があり、コロナ禍でも安全に検査が行えるように検討が行われた。また、咳テストも同様にコロナ感染症のリスクが高い検査であるため、その対策が必要となった。このため研究が遅延することになった。
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今後の研究の推進方策 |
咳テストおよび嚥下造影検査は本研究において、食道癌術後の客観的嚥下機能評価として必要不可欠な検査である。しかし、これらの検査はコロナ感染による影響を最も受ける検査である。このため、コロナ禍でも安全に検査を行うことができるように本学リハビリ科医師および言語聴覚士を中心に十分な検討・対策が行われ、2022年5月中に検査を再開予定である。これに伴い、本研究も開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症蔓延の中、研究促進のために必要な学会活動・研究会への参加が制限された。また、研究の中心となる咳テストおよび嚥下造影検査が感染対策の理由にて一時中止となり、研究開始が遅延した。この結果、設備備品である干渉電流型低周波治療器、消耗品であるゲルパット電極、電極押さえシートの購入を次年度に持ち越すこととなり、次年度使用額が生じた。
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