ラットを用いたin vivoモデルにて部分肝照射はPVEと同様に非照射領域の代償性肝肥大を引き起こすこと、代償性肝肥大の機序として肝細胞分裂の増加が寄与していることが示された。部分肝照射後12週での血液生化学的検査では明らかな肝機能の悪化を認めず、代償性肝肥大は肝予備能の維持に寄与していることが示唆された。臨床例での検討では、重粒子線治療の肝細胞障害の閾値は肝予備能が保たれている場合、X線よりもかなり高いレベルにあることが示され、治療時の肝機能温存における優位性が示唆された。一方で、代償性肝肥大については予想に反して閾値線量を超える照射領域と肝肥大の間に明らかな相関は確認できなかった。
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