研究課題/領域番号 |
21K08729
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
奥村 知之 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (10533523)
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研究分担者 |
寺林 賢司 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (20509161)
藤井 努 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60566967)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血液循環腫瘍細胞 / CTC / 食道癌 / リキッドバイオプシー |
研究実績の概要 |
1.食道癌細胞株を用いたAI画像解析による癌幹細胞識別アルゴリズム作成 健常人血液にKYSEおよびGFP標識KYSEを混和し、密度勾配遠心および CD45 depletionによって単核球層を採取し、GFPおよびEpCAM-FITC検出によって混和したKYSEの回収を確認した。さらに限界希釈法を用いて混和細胞数を調整したところ、100細胞混和にて平均33.3%の回収率で回収できることを確認した。また、回収したKYSEを用いた多重蛍光染色では、EpCAM-APC、p75NTR-FITCおよびDAPI染色を行い、取得したCD45-PE、EpCAM-APC、p75NTR-FITCおよびDAPI染色画像をAIを用いた高精度解析システムを用いた解析に進め、サンプル量、露光時間、背景処理など画像取得条件の検討を行い、撮影条件の最適化に必要なパラメーターに関する知見を蓄積し安定した画像取得が可能となった。 2.食道癌患者血液を用いたCTC捕捉とAI解析による癌幹細胞識別アルゴリズムの確立 倫理承認とインフォームドコンセントのもと、食道癌症例3例から術前化学療法開始前の静脈血3mlを採取し、上記1にて確立した手法を用いてCTCを分離した。3例ともにEpCAM発現細胞を多数検出したが、上記1で細胞株を用いた検討と異なり、発現の強弱やサイズの異なる様々な形態の細胞を検出しており、画像認識上のCut off値の再検討が必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞株を用いて確立したCTC分離法と画像取得には1サンプルにつき3時間を要し、同時に複数回の実験が困難となっている。また、赤血球や白血球の除去において目的細胞のロスとの兼ね合いによって、条件設定に時間を要した。 患者血液を用いたCTC分離においては、上述のように発現の強弱やサイズの異なる様々な形態の細胞を検出しており、画像認識上のCut off値の再検討が必要となった。 このため当初予定では60症例の血液を用いた解析を計画していたが、現時点で数例を用いた予備的検討にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞株を用いた条件設定は終了し、食道癌症例の血液を用いたCTC分離における画像解析条件の最適化を進める。特に画像認識上の形態および染色強度に基づくCut off値の設定では、健常人血液10例と食道癌症例10例のサンプルを用いてコントロール抗体を用いた染色を合わせた画像をもとにAIを用いた解析を進める予定である。 また、細胞株を用いたCTC制御機構の解析を並行して進めており、ヒト癌細胞を用いたマウスCTCバイオアッセイモデルの確立を目指す。すでにヒト癌細胞株を皮下および胃壁内に移植したヌードマウスにおいて、採取した血液1mlからCTCを1個~20個捕捉することに成功しており、本研究計画に含まれる、CTCを生細胞として回収する方法の条件設定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者血液を用いたCTC分離と画像解析の条件設定が半年遅れで終了する見通しであり、当初予定であった患者60例の血液を用いた解析に必要な経費を次年度に繰り越すこととなった。上記8の通り、健常人血液10例と食道癌症例10例のサンプルを用いてコントロール抗体を用いた染色を合わせた画像をもとにAIを用いた解析を行いCut off値を設定次第、60症例の解析を進める予定である。
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