研究課題/領域番号 |
21K08750
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
廣瀬 雄己 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (10737365)
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研究分担者 |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
奥田 修二郎 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00512310)
竹内 志穂 新潟大学, 医歯学系, 客員研究員 (70422277)
市川 寛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50721875)
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30743918)
坂田 純 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70447605)
島田 能史 新潟大学, 医歯学系, 講師 (20706460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 変異シグネチャー / ターゲット遺伝子パネル検査 / バイオインフォマティクス / 消化器癌 |
研究実績の概要 |
次世代シークエンサー(NGS)の発達に伴い、米国ではThe Cancer Genome Atlas(TCGA)が組織され、数万人規模で癌ゲノム情報が蓄積されている。これらの成果から、癌発症に関連する300~500の遺伝子(ターゲット遺伝子)の変異を調べれば、概ねその癌組織における原因遺伝子異常を同定することが可能となった。近年、癌研究を促進させる新しい概念として、変異シグネチャー(mutational signature)が注目されている。本研究の目的は、「固形癌におけるターゲット遺伝子パネル検査結果から突然変異の塩基置換パターンを抽出し、革新的な変異シグネチャー分類法を開発すること」である。 令和4年度は、潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌のターゲット遺伝子パネル検査の結果から変異シグネチャー解析を行い、散発性大腸癌の変異シグネチャーと比較検討した。その結果、潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌症例の93%において、遺伝子の相同組み換え修復欠損に特徴的な変異シグネチャー3が検出された。これは、散発的大腸癌症例における変異シグネチャー3発現頻度と比較し有意に高かった。これらの結果、ターゲット遺伝子パネル検査によって、潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌患者に対するテーラーメイド医療を行うための遺伝子情報が得られることが明らかになった。 また、大腸癌の腫瘍部の全ゲノム配列解析(WGS)を活用して、固形癌に特異的なドライバー遺伝子に着目し、その中から100、200、300、400、500遺伝子を抽出し、各々における変異シグネチャーを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、研究課題C「変異シグネチャー(mutational signature)の臨床的意義の解明」として、潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌のターゲット遺伝子パネル検査の結果から変異シグネチャー解析を行い、散発性大腸癌の変異シグネチャーと比較検討した。その結果、潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌症例おいて、遺伝子の相同組み換え修復欠損に特徴的な変異シグネチャー3が検出された。これは、散発的大腸癌症例における変異シグネチャー3発現頻度と比較し有意に高かった。これらの結果、ターゲット遺伝子パネル検査によって、潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌患者に対するテーラーメイド医療を行うための遺伝子情報が得られることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題C「変異シグネチャー(mutational signature)の臨床的意義の解明」として、現在、大腸癌全ゲノムデータから得られた変異シグネチャー分類結果と、遺伝子パネル検査の遺伝子数に着目し、その遺伝子数で得られた変異シグネチャー分類結果について、数理統計学的に解析中である。また、その他の癌腫においても、臨床データと、変異シグネチャーとの関連を検証中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大腸癌の腫瘍部の全ゲノム配列解析(WGS)を実施した結果を、(コロナの影響で発表できておらず)学会・研究会で発表するため。
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