研究課題/領域番号 |
21K08755
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
友近 忍 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30403679)
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研究分担者 |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
硲 彰一 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (50253159)
鈴木 伸明 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50526910)
吉田 晋 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (60554805) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 癌 |
研究実績の概要 |
化学療法と抗EGFRまたは抗VEGFモノクローナル抗体 (mAb) の併用は、ステージ4大腸癌 (mCRC) 患者に対して広く用いられている。我々は以前に、抗EGFR mAbが大腸がん観点位相におけるTILの増加をもたらすと報告した。また、近年では免疫療法と抗VEGF mAbとの併用療法が肝がんなどで適応となっている。本研究では化学療法前後の大腸癌肝転移巣の病理学的解析、並びに、次世代シーケンサー(NGS)を用いたPBMCと腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) のTCRレパトア解析により、治療前後のPBMCとTILのTCRレパトアがどのように変化するかを観察して、Cmabがどの様な免疫細胞を癌局所に誘導しているかを検証する。 これまでに、化学療法と併用して抗EGFR mAb (n = 6) または抗VEGF mAb (n = 4) 療法を受けたmCRC患者を対象として、治療前後のPBMC及び肝転移巣生検または手術標本を得た。CD3及びCD8の免疫組織化学染色により腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) を評価した。さらに、治療後にCD3陽性TILを認めた症例を対象に、PBMC及び凍結腫瘍組織を用いてTCRレパトア解析を行った。抗EGFR mAb、抗VEGF mAb投与後のCD8陽性TILはそれぞれ83%と25%であり、抗EGFR mAb群の方が抗VEGF mAb群よりも有意に高いTIL頻度を示した。一方、TCRレパトア解析では、抗EGFR mAb群に比べて、抗VEGF mAb群ではTCRα及びTCRβのclonalityが高く、1/Ds値から多様性が低いことが示された。さらに、TILと末梢血T細胞とで相同なTCRクローンの割合は、抗EGFR mAb群に比べて、抗VEGF mAb群では有意に低かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例集積に難渋しているものの、得られたサンプルについて当初予定の解析を終えた。その結果、抗EGFR mAb群と抗VEGF mAb群ではTILの量と質に違いがあることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
TILの量的側面だけでなく、TCRレパトア解析からの質的側面について、より詳細な検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例数が限られたため試薬費が減少した。解析項目を追加し、抗体等の購入に充てる。
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