研究課題/領域番号 |
21K08758
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
門馬 智之 福島県立医科大学, 医学部, 病院教授 (20622335)
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研究分担者 |
河野 浩二 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40283204)
中嶋 正太郎 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50723417)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 食道扁平上皮癌 / 術前補助化学療法 / 腫瘍随伴マクロファージ / IL-34 |
研究実績の概要 |
申請者らは、食道扁平上皮癌(ESCC)において術前補助化学療法(NAC)により腫瘍随伴マクロファージ(TAM)の浸潤が促進すること、またTAMの浸潤にはIL-34が関与する可能性を見出しており、NACによりESCC細胞から産生されるIL-34が治療効果や予後に負の影響を及ぼす可能性が推測される。そこで本研究では、以下3点を中心に検討を行う。 ①ESCC組織のIL-34産生レベル又はTAMの浸潤レベルがNACの治療効果および予後に及ぼす影響の検討 ② ESCC細胞の抗癌剤感受性とIL-34産生レベルの相関に関する検討 ③ 抗癌剤で処理したESCCがマクロファージの分化、機能に及ぼす影響の解析
本年度は上記②を中心に実験・解析を実施した。14種類のESCC細胞株を抗がん剤である5-フルオロウラシル(5-FU)およびシスプラチン(CDDP)で処理し、IL34発現レベルを測定した。各抗がん剤の処理濃度は各細胞株に対するIC50濃度を適用した。5-FU処理に対しては14株中11株、CDDP処理に対しては14株中7株でIL34の有意な発現増加が観察された。各ESCC細胞株とIL34発現レベルの間に相関は見られなかったものの、CDDP処理に対してIL-34の増加量とIC50との間に有意な相関が見られたことから、CDDP刺激に対してIL34が高く産生された細胞株では抗がん剤に対する感受性が低下する可能性が示唆された。またESCC細胞株を低濃度のCDDP添加培地で1ヶ月間培養することで、CDDP耐性のESCC細胞株を構築した。構築したCDDP耐性株を通常の培地で培養後、IL34産生レベルを測定したところ、CDDPに耐性のない親株に対してCDDP耐性株ではIL34産生レベルが有意に高く維持されていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の研究計画に基づき、ESCC細胞株を用いて抗がん剤がIL-34の産生を誘導すること、また産生されたIL-34が抗がん剤感受性に影響を及ぼす可能性に関して解析することができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では、抗がん剤で処理したESCC細胞株と単球・マクロファージの共培養系を構築し、抗がん剤で処理したESCC細胞株が単球・マクロファージの分化・極性に及ぼす影響に関し検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究では、申請者が所属する研究室で共通した試薬、抗体、キット、消耗品などを活用することができたため、新規の物品購入費が生じにくかった等の理由により、次年度使用額が生じた。
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