研究課題/領域番号 |
21K08768
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安西 紘幸 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60897180)
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研究分担者 |
山本 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30376644)
河津 正人 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 部長 (20401078)
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 潰瘍性大腸炎関連大腸癌 / 早期診断 / メチル化 |
研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis, UC)の長期罹患は予後不良とされている潰瘍性大腸炎関連大腸癌(colitic cancer)の発症のリスクとなることから、UC患者ではより早期に腫瘍を発見することが重要である。しかしながらcolitic cancerは内視鏡的に認識することが難しい病変が多く 、病変をいかに漏らさず拾い上げるかが喫緊の課題である。また下部内視鏡検査は、UCの増悪や合併症のリスクもあり、患者によっては苦痛を伴う検査であることから、より侵襲度の低い検査法の確立が望まれる。そこで本研究では遺伝子のメチル化を指標とした低侵襲で簡便かつ安価 なcolitic cancerの早期診断ツールを開発するため、dysplasiaおよびcolitic cancerを合併している UC(UC-Ca)患者の背景粘膜と、dysplasiaもcolitic cancerも合併していないUC(UC-NonCa)患者の背景粘膜で観察される遺伝子の差異を、それぞれの遺伝子のプロモーター領域のメチル化に焦点をあて比較することにより、UC-Ca患者特異的にメチル化している遺伝子の同定を目指す。 さらに同定したそれぞれの遺伝子についてメチル化を簡便に検出できる実験系(簡易メチル化アッセイ)を確立し、それを組み合わせることで複数の遺伝子のメチル化を同時に検出し、colitic cancerの早期診断に用いることが可能なツールの開発を目指す。また、背景粘膜だけではなくリキッドバイオプシーを用いても精度よく診断できるツールの開発を目指す。 現在、これまでにUC-CaとUC-NonCaの背景粘膜のマイクロアレイ解析により同定されている、dysplasiaおよびcolitic cancerの有無と関連している20の遺伝子について、遺伝子発現とプロモーター領域のメチル化の相関について検討をおこなっている。また、UC-CaとUC-NonCaの背景粘膜の網羅的メチル化解析方法について検討を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NGS解析用のUC症例の集積が遅れ未だ網羅的メチル化解析に至っていないため
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、マイクロアレイ解析により同定されているdysplasiaおよびcolitic cancerの有無と関連している20の遺伝子について遺伝子発現とプロモーター領域のメチル化の相関について検討をおこなう。また、NGS解析用のUC症例が集積し次第、網羅的メチル化解析を実施し、新たに得られた候補遺伝子についてバイサルファイトシークエンスをおこない、メチル化を簡便に検出できる実験系の確立を目指す。
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