研究課題
局所の免疫モニタリングとして、腫瘍浸潤Tリンパ球(TIL)を定量化する客観的な評価法「Immunoscore」(切除標本の免疫組織染色により腫瘍中心・辺縁部で各CD3、CD8陽性Tリンパ球陽性細胞数を測定しスコアを算出)に着目し、このImmunoscoreが術前無治療食道癌(n=300)の予後および術前化学療法の治療効果予測に極めて有用である可能性が示唆された(Noma T, Makino T, et al. Ann Surg 2021)。さらに腫瘍辺縁に存在し主にB細胞を中心に構成される三次リンパ様構造(TLS)に着目し、その中でも成熟度の高度(secondary TLS)または中等度(primary TLS)のTLSが食道癌根治術を受けた316例の予後および免疫チェックポイント分子阻害薬(ICI)の治療効果予測における有用なバイオマーカーとなることを見出した(Hayashi Y, Makino T, etal. Br J Cancer 2023)。一方で全身の免疫モニタリングとして、切除不能進行・再発食道扁平上皮癌(n=57)に対してNivolumab(抗PD-1抗体)を投与した前後で、患者末梢血を経時的(Day0,7,14,28)に採取し抗PD-1抗体の結合したリンパ球の表面マーカーの特徴を解析した。これらとNivolumabの治療効果や予後など臨床病理学的因子との相関を検討した。フローサイトメトリーを用いてPD-1抗体の結合したT細胞上に発現する各分子と治療効果との相関について解析したところ、Nivolumab投与4週後においてNivolumab奏効例は非奏効例と比較してNivolumab結合CD8上のCD103が有意に高発現であった(p=0.0041)。また、投与4週目のCD103高発現群はCD103低発現群より有意に予後良好であった(p=0.042)。
すべて 2023
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Annals of Surgery
巻: 277 ページ: e528-e537
10.1097/SLA.0000000000005104
巻: 128 ページ: 2175-2185
10.1038/s41416-023-02235-9