研究課題/領域番号 |
21K08803
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
廣野 誠子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60468288)
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研究分担者 |
北畑 裕司 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00535338)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40398459)
岡田 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50407988)
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90549734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵癌 / ctDNA変異解析 |
研究実績の概要 |
切除可能境界(BR)膵癌10例に対して、術前治療としてgemcitabine・nab-paclitaxel併用療法を2コース(計6回投与)行った後、外科的切除を行った。CAPP-SeqによるctDNA変異解析を行うため、術前治療開始前、術前治療終了後、外科的切除後1ヶ月目に採血を行った。BR膵癌10例の年齢中央値は67歳で、男性6例、女性4例であった。初診時の画像診断において、180度以上の門脈浸潤を認めたBR-PV膵癌が6例、上腸間膜動脈あるいは腹腔動脈浸潤を認めたBR-A膵癌が4例であった。術前治療後の画像評価において、RECIST判定は、partial response が3例、stable diseaseが7例あった。手術術式は、膵頭十二指腸切除術が7例、膵体尾部切除術2例(うち1例は腹腔動脈・総肝動脈合併切除術)、膵全摘術1例であった。10例のうち7例に門脈合併切除術を行った。 BR膵癌患者症例10例に対して、術前治療開始前の血液を採取し、CAPP-Seqを用いてctDNA変異解析を施行した。10例中8例に(80%)、ctDNA変異を認めた。10例中3例(30%)にKRAS mutation、TP53 mutationを認め、2例(20%)に、MET mutationを認めた。そのほか、BRCA2 mutation, ALK mutation, EGFR mutation, BRFA mutation, ROS1 mutation, ERBB2 mutationを、それぞれ1例ずつ認めた10例中7例(70%)に、術前治療終了後にctDNA変異を認めた。そのうち3例は、Ras family (KRAS, NRAS, BRAF)のctDNA変異を認めた。今後、BR膵癌症例におけるctDNAと生存期間との関係を検討し、術前治療におけるctDNA変化の意義を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CAPP-Seqを用いた膵癌におけるctDNA変異解析において必要な試薬ctDNA Library Prep KitとctDNA Surveillance Panelの納品が、コロナ感染の影響で大幅に遅れ、実験に時間がかかっている状況です。
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今後の研究の推進方策 |
現在、施行した切除可能境界(BR)膵癌症例10例の、術後生存期間(overall survivalとrecurrence-free survival)を評価し、術前治療前、術前治療後(外科的切除前)、外科的切除後1ヶ月目に採取したctDNA変異との関係を明らかにし、BR膵癌における術前治療によるctDNA変異の変化がどのように生存期間に影響を及ぼすかを解明する。また、さらなる症例を集積(5例)し、同様に解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染のため、CAPP-Seqの実験に使用する消耗品の購入が著しく遅れてしまい、研究の進捗が遅くなったために、予定使用金額に及びませんでした。本年は、実験に必要な消耗品を購入し、研究を進めていく予定です。
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