研究実績の概要 |
本研究開始後から一昨年度までにベータカテニンの遺伝子異常の有無を5種類の細胞株でシーケンサーにより確認し、以後の実験を行った。 ベータカテニンmut:HepG2, Hep3B, PLC/PRF/5, HLE ベータカテニンWT: Huh7, SH-Hep1 pCDH-EF1-T2A-Puro(レンチウィルスベクター)を用いてCDH1を安定的に発現する細胞を作成し(免疫染色によりE-カドヘリンの膜への局在及びベータカテニンの核への移行を確認済)、これらの細胞(ベータカテニンWT: Huh7, SH-Hep1)を用いてエクソン3が欠失するCTNNB1 mut(HepG2よりサブクローニング)をトランスフェクションした。逆にこれらのDNA導入した細胞株(ベータカテニンmut:HepG2, Hep3B, PLC/PRF/5, HLE)についてsiRNAによりCDH1をノックダウンすることによりカテニンの核への移行を免疫染色法にて確認した。 上記で作成した肝がん細胞について、今年度中にRNAシーケンスによりWNT下流遺伝子の発現レベルの変化、WNTパスウェイの活性化を確認する予定である。解析にはパスウェイ解析を行い、単なる発現変化のみでは確認できないいkey moleculeを同定する。さらに、上記で作成した細胞株についてそれぞれカドヘリン発現の有無で細胞 殖能、細胞遊走能、細胞浸潤能などを比較し、ベータカテニンとE-カドヘリンが肝がん細胞の増殖において占める役割などを同定し、ベータカテニンの変異があるにもかかわらず下流遺伝子の活性化が認められない状況について過去のシーケンスデータとの整合性を探求してゆく。
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