ヒトiPS細胞からserum free conditionにて、長期継代可能な肝幹細胞様細胞を作成した。この肝幹細胞様細胞は、slow cooling法にて-80℃での長期凍結保存も可能であった。長期継代後も肝細胞に特徴的なタンパク(FoxA2・HNF4a・ASGPR1・アルブミン)および細胞増殖関連タンパク(Ki67・PCNA・cyclin D・c-Myc)発現が維持され、かつ肝細胞成熟化培地(8.3%FBSを含むLeibovitz L-15培地)に変更後は薬剤特異的にチトクロムP450の発現(RifampicinによるCYP3A4誘導)が確認され、機能的な肝細胞への更なる分化が可能なことが示された。さらに肝幹細胞様細胞の維持培養において、活性化されている細胞内シグナル経路をWestern blottingにて検索し、その調節メカニズムの一端を解明した。これまで報告されているヒト肝臓における組織幹細胞マーカー(DLK1・CK19・Sox9・EpCAM等)候補の中から、我々の作成した肝幹細胞様細胞において中心的な役割を果たしている幹細胞マーカーの同定に取り組み、現在数個の候補タンパクに絞ってさらなる検索を進めているところである。
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