研究課題/領域番号 |
21K08810
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
池田 公治 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (70833862)
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研究分担者 |
小嶋 基寛 国立研究開発法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, ユニット長 (30338470)
山口 雅之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (90450577)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MRI / CRM / 直腸癌 / 切除標本 |
研究実績の概要 |
研究名『直腸癌切除標本のMRI画像診断に関する前向き観察研究』のプロトコールを作成、直腸癌手術で摘出された切除標本を9.4T及び3.0TのMRI装置で測定し、切除標本に対するMRIの撮像条件を探索し、その条件において切除標本のMRI画像上のCRM、壁深達度、リンパ節転移、Extramural depth of tumor、Extramural venous invasionと病理学的組織診断結果の一致率ついても明らかにする目的で2021年6月より本研究を開始した。 その後、豚の標本を使用して切除標本を病理組織診断するまでにいかに摘出検体を変形させないかについての予備実験を重ね、2021年10月より症例登録を開始。切除標本の撮影条件の探索においては放射線診断医とともにCANONメディカルシステムのMRI部門の技術者にも協力を依頼、切除標本のMRI撮影条件に最適な条件を模索中である。 現在、5例目を解析中であり切除標本のCRMの距離を確認できるような条件が明らかになりつつある。 今年度中に20例の症例でMRIの撮像条件を探索、撮像条件を明確にした後に、次年度に術前MRIにおいてCRM確保可と診断された大腸がん手術症例(100例を目標)を対象に、術中迅速CRM診断の有用性を調査する臨床研究を実施する。 術中にCRMの評価が可能となる術中迅速MRI診断法を開発することで、手術中に確実にCRMを確保できる、あるいは他の局所療法を追加することが可能となり、術後局所再発率の低減がもたらされることで予後の改善が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究名『直腸癌切除標本のMRI画像診断に関する前向き観察研究』のプロトコールを作成、直腸癌手術で摘出された切除標本を9.4T及び3.0TのMRI装置で測定し、切除標本に対するMRIの撮像条件を探索し、その条件において切除標本のMRI画像上のCRM、壁深達度、リンパ節転移、Extramural depth of tumor、Extramural venous invasionと病理学的組織診断結果の一致率ついても明らかにする目的で2021年6月より本研究を開始した。 その後、豚の標本を使用して切除標本を病理組織診断するまでにいかに摘出検体を変形させないかについての予備実験を3か月行ったことから、症例登録の開始が遅れた。また、9.4TのMRIとともに一般的に汎用性のある3.0TMRIの撮像条件も同時に探索のする方針としたことから当初の2倍である20例を解析することとなり、当初の計画よりも撮像条件の探索に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中に20例の症例でMRIの撮像条件を探索、撮像条件を明確にした後に、次年度に術前MRIにおいてCRM確保可と診断された大腸がん手術症例(100例を目標)を対象に、術中迅速CRM診断の有用性を調査する臨床研究を実施する。 9.4Tまたは3.0Tの MRIを使い、未固定標本上でCRM距離を計測し、CRM確保の有無を判定する。病理学的CRM距離(≧1mm)をゴールドスタンダードとして、CRM確保の術中迅速診断率を算出する。先行研究の通り約1割の症例に病理学的CRM陽性例が生じると仮定すると、100例のうち、術中迅速診断では最大10例の、CRMが確保されなかった(CRM陽性)例が生じうる。Fisher検定を用い、病理学的CRM判定と術中迅速CRM判定の関連を調査することを通し、術中迅速CRM診断の有用性を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも、症例登録数が少なかったため経費の差額が生じた。
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