研究名『直腸癌切除標本のMRI画像診断に関する前向き観察研究』のプロトコールを作成、直腸癌手術で摘出された切除標本を9.4T及び3.0TのMRI装置で測定し、切除標本に対するMRIの撮像条件を探索し、その条件において切除標本のMRI画像上のCRM、壁深達度、リンパ節転移、Extramural depth of tumor、Extramural venous invasionと病理学的組織診断結果の一致率ついても明らかにする目的で2021年6月より本研究を開始した。 その後、豚の標本を使用して切除標本を病理組織診断するまでにいかに摘出検体を変形させないかについての予備実験を重ね、2021年10月より症例登録を開始。切除標本の撮影条件の探索においては放射線診断医とともにCANONメディカルシステムのMRI部門の技術者にも協力を依頼、切除標本のMRI撮影条件に最適な条件を確定した。途中9.4TのMRI装置が施設の方針で廃棄することにより使用できなくなったが、3.0TのMRI装置で合計15症例の測定を行った。 結果としては、炎症が強い部分以外は切除標本のMRI画像と病理学的組織結果は一致することが確認できた。今後は、術前MRIにおいてCRM確保可と診断された大腸がん手術症例(100例を目標)を対象に、術中迅速CRM診断の有用性を調査する臨床研究を実施する予定である。 術中にCRMの評価が可能となる術中迅速MRI診断法を開発することで、手術中に確実にCRMを確保できる、あるいは他の局所療法を追加することが可能となり、術後局所再発率の低減がもたらされることで予後の改善が期待できる。
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