研究課題/領域番号 |
21K08814
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 校輝 東北大学, 大学病院, 助教 (10896806)
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研究分担者 |
齋木 佳克 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
藤原 英記 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (20747117)
片平 晋太郎 東北大学, 大学病院, 講師 (80870138)
細山 勝寛 東北大学, 大学病院, 助教 (70837046)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大動脈解離 / 人工血管置換術 / 断端形成法 / 慢性大動脈解離モデル / Synthetic hybrid fabric |
研究実績の概要 |
雌ビーグル犬を用いた慢性期大動脈解離モデル作製を完了した。ビーグル犬(約10kg)を、全身麻酔下に左第4肋間開胸とし、下行大動脈を露出する。第2および第6肋間動脈レベルで大動脈をテーピングし、第3から6肋間動脈を左右ともに結紮切離することで、再現性が高く評価し易い操作が可能となる。遮断された大動脈中央に切開を入れ、大動脈断面を確認後に大動脈壁中膜層の中間で、円周方向に約5mmの切開をおき、切開部を起点として剥離子を使用して解離腔を作成することで、内膜は最小限の切開にとどめ、外膜を損傷しない再現性の高いモデル作成が可能となった。術後6ヶ月飼育し生存させるための安定した飼育条件についても確認を終えている。 新たな生体吸収性素材であるSynthetic hybrid fabric (SHF)のカッティングに際し、断端形成の補強素材として適したストリップのサイズ検討とその作成を完了した。心臓周囲構造物との位置関係・距離と手術中の操作性を考慮し、従来から使用されることの多い、10mm幅のストリップによる断端形成の検討を行うことが適当と考えられ、ビーグル犬の大動脈径に対する適合性も確認された。10mm幅のストリップ状にカッティングする技術的検討も終了している。 断端形成部の組織学的評価を行うための染色法その他の基礎的検討を行い、摘出時の血管内外側SHFストリップ表面、周囲大動脈組織に加えて、大動脈内膜及び解離した中膜における組織再生や炎症細胞浸潤等の組織変化の程度を評価することが可能となった。評価項目中の石灰化の半定量化のためのスコアリングシステムについては確立しつつあるが、組織再生や炎症反応をいかに定量化するかについては依然検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規断端形成法の有効性を検討するための評価項目の選定と、それらを定性的、定量的に評価するためのスコアリングをはじめとしたシステム作成に時間を要した。 また、引き続き本学の動物実験施設の改修工事の影響で、当該期間の実験施設及び飼育に必要なスペースや、管理体制についての制限があり、慢性期の本実験の実施が難しい状況が続いたことが影響している。
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今後の研究の推進方策 |
確立した慢性期大動脈解離モデルを使用した本実験の施行をすすめ、6ヶ月飼育後の画像診断的評価、医工学的手法を用いた生態工学的評価(コンプライアンス測定)、肉眼的評価および組織学的評価(定性・定量)から、自己大動脈壁組織への影響、コンプライアンスミスマッチの判定及び生体適合性などを総合的な観点から検討し、新規断端形成法の有効性を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に雌ビーグル犬の購入及び飼育が完了していないために、次年度使用額が生じた。翌年度に、残りの動物購入・飼育のために使用予定である。
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