研究課題/領域番号 |
21K08818
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
白石 修一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00422600)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 位相差X線CT |
研究実績の概要 |
本研究では、未だ解明の出来ていない単心室疾患群の刺激伝導系を位相差X線CTを用いて3次元的に描出し、この画像情報を用いてCRTの至適な装着部位を決定する。さらに、グレン手術やフォンタン手術の際に直接に心外膜側から電極を装着して血圧やQRS幅などの心電図変化だけでなく、経食道心エコーを用いた組織ドップラー法による詳細な心室壁運動とVTIによる体・肺血流量の微細な変化を観察し、画像から得られたペーシング部位の妥当性と治療効果を検証する。 共同研究者らと位相差X線CTを用いて複雑心奇形の刺激伝導系と心筋線維走行の詳細な検討を行い、学会及び論文発表を行った。 今年度はコロナ禍のためSPring8での撮像実験の回数の制限があったため、評価方法の実証を優先して行った。複雑心奇形及び単純心奇形の実際の心臓手術において心表面からの心外膜ペーシングを部位を変更して行い、経食道心エコーを用いて組織ドップラー法での心筋壁運動の変化及び肺静脈還流血流量をPV-VTIを用いて算出する方法を検討している。これらのデータは今年度の国内学会において発表予定である。 また、共同研究者らがSPring8での右室型単心室剖検標本を用いて心筋繊維走行 (Myofiber Orientation)の観察を行い、日本胸部外科学会において報告を行っており、心筋繊維のHelical Angle (HA) を同定し, 線形近似による変化率 (dHA)について論文発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はコロナ禍のため兵庫県佐用郡のSPring8での撮像実験を行うことが不可能な時期が多かった。このため、剖検標本による刺激伝導系の三次元的に描出する段階までは達していない。本年度は同施設への移動が可能となるため、昨年度に行う予定の心標本の解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
兵庫県佐用郡のSPring8での複雑心奇形(無脾症候群や三尖弁閉鎖、純型肺動脈閉鎖など)の位相差X線CTによる刺激伝導系の三次元的描出を行う。同時に心筋繊維のHelical Angle (HA) と線形近似による変化率 (dHA)を用いて右室型単心室の心筋構造の特徴及び個体差の検討を引き続き行う。 実際の心臓手術においては人工心肺離脱時のペーシング部位の変化に伴う心室壁運動の変化を組織ドップラー法を用いて評価し、同時に経食道心エコーを用いて体肺静脈還流血流量の変化を用いて微小な血行動態的変化の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はコロナ禍のために予定されていたSPring8での撮像実験を行うことが出来なかった。このため計上していた施設使用料・交通費及び実験資材費を使用しなかった。2022年度はこれらの実験を追加で行うため生じている次年度使用額を使用する予定である。
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