研究実績の概要 |
本研究では、バリエーションが多く未だ解明の出来ていない単心室疾患群の刺激伝導系を位相差X線CTを用いて3次元的に構築し、この画像情報を用いてCRTの至適な装着部位を決定 する。さらに、グレン手術やフォンタン手術などの際に心外膜電極を装着して血圧やQRS幅などの心電図変化だけでなく、経食道心エコーを用いた組織ドップラー法による詳細な心室壁運動とVTIによる体・肺血流量の微細な変化を観察し、画像から得られたペーシング部位の妥当性と治療効果を検証している。 共同研究者らと位相差X線CTを用いて複雑心奇形の刺激伝導系と心筋線維走行の詳細な検討を行い、学会及び論文発表を行った。共同研究者がSPring8での右室型単心室剖検標本を用いて心筋繊維走行(Myofiber Orientation)の観察を行い、日本胸部外科学会において報告を行っており、心筋繊維のHelical Angle (HA) を同定し, 線形近似による変化率 (dHA)について論文発表予定である(第75回日本胸部外科外科学会総会)。 また、代表的な単心室型疾患である三尖弁閉鎖症における正常大血管位における詳細な大動脈弁周囲の刺激伝導系走行を解明し誌上発表した(JTCVS Open. 2021 Oct 26; 8: 557-560)。修正大血管転位症のCRTにおける至適な心外膜ペーシング部位の報告を学会発表した(WORLD CONGRESS OF PEDIATRIC & CONGENITAL HEART RHYTHM DISORDERS 2022)。 これまでに得られた知見を基に、心臓手術において心外膜ペーシングを部位を変更して行い、経食道心エコーを用いて組織ドップラー法での心筋壁運動の変化及び肺静脈還流血流量をPV-VTIを用いて算出する方法を検討している。これらのデータは今年度の国内学会において発表予定である。
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