研究課題/領域番号 |
21K08823
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
村岡 玄哉 岡山大学, 大学病院, 医員 (90816258)
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研究分担者 |
大澤 晋 岡山大学, 大学病院, 講師 (20643414)
藤井 泰宏 岡山大学, 大学病院, 客員研究員 (40534673)
王 登莉 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40815693)
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (50135943)
逢坂 大樹 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70839141)
笠原 真悟 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90233692)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脊髄虚血 / 予防法 / HMGB1 / 抗HMGB1抗体 / うさぎ / 胸部大動脈手術 / 対麻痺 |
研究実績の概要 |
胸部下行・胸腹部の大動脈瘤手術は大動脈ステントグラフトの発達に伴いハイリスク患者でも積極治療されるようになり、急激に患者数が増加している。本邦での最新の胸部・胸腹部大動脈手術数は35,427例(2015年1月~2016年2月)である。一方、これらの疾患群の死亡率は平均7.3%と高く、生命予後に大きく関わる非常に重大な合併症として、脊髄虚血による対麻痺が挙げられる。対麻痺は術式にもよるが、3.4~10.4% の確率で発生しており、かなりの数の患者が対麻痺を発症している。(日心外科誌48巻1号: 18-24, 2019)。この発生率は、既存の脊髄保護法(Naroxone投与、冷却、脊髄ドレナージ、Adamkiewics動脈再建、ステロイド等)を適宜行った上での数値であり、新たな対策・治療法開発は喫緊の課題である。我々はこれまで、岡山大学薬理学の西堀らが独自に開発した抗HMGB1(high mobility group box 1)抗体を用い、脳虚血、くも膜下出血、硬膜下出血、脳外傷といった中枢神経疾患動物モデルでその脳障害予防効果を証明してきた。そこで、心臓血管外科手術における脊髄保護にも有用ではないかと考え、ウサギの脊髄虚血モデル作成のPreliminary Study を施行後、本研究を計画した。本研究の目的は、NSC 34 Cell を分化させた、Motor Neuron Like Cellとうさぎ脊髄虚血モデルを用いて、HMGB1抗体のMotor Neuron に対する細胞死抑制効果、酸化ストレス抑制効果を実証し、臨床応用へ繋げる事である。本年度は、ウサギの脊髄虚血モデルを用いた抗HMGB-1抗体の脊髄麻痺予防効果実証実験を施行し、計画分を完遂し、組織サンプルを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In-Vivo動物実験を完遂し、順調に計画は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
得られた組織サンプルの解析をすすめる。1本、論文投稿中である。近年の円安、ウクライナ戦争等の影響で物資の価格が上昇しており、細胞の実験を遂行することは困難と思われるが、リサーチクエスチョンに答えを得る結果は十分得られるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
R3年度細胞使用研究、R4,5年度うさぎのIn-Vivo試験であったが、予算規模の不安から、より重視している「うさぎの研究を前倒しでおこなっている。そのため予算使用計画に差が若干でているが、概ね順調な計画の進行である。使用計画としては、次年度実施予定の組織免疫染色、論文英文校正、論文公表必要経費、発表旅費等に必要な費用に充当する。
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