今後の研究の推進方策 |
令和4、5年度においては、DFATと単球・マクロファージの単球からマクロファージへの分化能、マクロファージの形質や機能に対しDFATがどのような影響を及ぼすか検討する。トランスウェルを介してTHP-1とDFATとの共培養を行い、マクロファージ誘導因子であるPMA刺激によるTHP-1のマクロファージへの分化誘導に対する影響や、動脈形成に関わる因子であるVEGF, HGF, SDF-1, MMPs, IL-6, TNFα, IL-10, TGF-βなどの発現変化をリアルタイムRT-PCR法による遺伝子発現やウエスタンブロットによるタンパク産生について評価する。 マウス下肢虚血モデルを用いたDFAT移植実験に関しては、既に継時的に採取した大腿筋組織の組織切片を作成済みである。この組織切片を用いて、マクロファージのイムノフェノタイプに関するタンパクについて免疫染色を行い、側副血管に集積するマクロファージのイムノフェノタイプを検討し、DFATがマクロファージのイムノフェノタイプ変化に関与するか検討する。 また、DFATのTHP-1に対する細胞遊走能にDFATが大量に分泌するMCP-1(Monocyte chemotactic protein-1)が関与する可能性を検討するためにMCP-1中和抗体を用いた共培養を行い、DFATのTHP-1に対する遊走能がキャンセルされるか検討する。また、検討によりMCP-1の関与が確認されれば、ゲノム編集技術を用いてMCP-1ノックダウンDFATを作成する。同様にMCP-1発現ベクターをDFATに遺伝子導入することによりMCP-1過剰発現DFATを作成する。これらの細胞を用いて令和3年度の検討と同様に免疫不全マウスを用いた下肢虚血モデルに対する移植実験を行い、側副血管の発達、側副血管週のマクロファージ集積に対する影響を検討する。
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