研究課題/領域番号 |
21K08832
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
田端 実 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (20620199)
|
研究分担者 |
森村 隼人 公益社団法人地域医療振興協会(地域医療研究所), 地域医療研究所, 医員 (10898844)
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
坪子 侑佑 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (40809399)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 心臓弁膜症 / 人工弁 / カテーテル治療 / 僧帽弁閉鎖不全症 |
研究実績の概要 |
田端が開発した僧帽弁閉鎖不全症に対する外科的僧帽弁形成術方法(Double leaflet technique)をベースにしたカテーテル弁治療デバイスの開発を行っている。このデバイスは、扇形の弁葉を僧帽弁の病変部に覆いかぶせるように留置し、非病変部の僧帽弁と協働して逆流を制御するものである。大腿静脈から右心房を経由し心房中隔を貫いて、左心房・左心室に運搬され、左心房壁と左心室壁に固定される。 我々はデバイスの最適な弁葉形態を探るために、拍動流モデルのなかにブタ心臓にて病変モデルを作成し、デバイス弁葉にょる僧帽弁逆流制御の評価を行った。拍動流モデルでは、収縮期率を35%、心拍動数70回/分とし、大動脈圧120/80 mmHg, 心拍出量4L/分を目安に循環させ、血流計で左室への流入量と左房への逆流量を計測した。僧帽弁の逆流率を左房への逆流量/左室への流入量として計算した。機能性僧帽弁閉鎖不全症のモデルでは平均逆流率が42%で、デバイス弁葉を縫着することで平均逆流率を27%に低下することができた。器質性僧帽弁閉鎖不全症のモデルでは平均逆流率が57%で、デバイス弁葉を縫着することで平均逆流率を26%に低下することができた。 さらにデバイスを左室壁に固定するアンカーの引張試験を行った。ブタ心臓の左室を65x65x20mmにトリミングして治具に取り付けた。アンカーを左室心筋に固定して上方に引っ張り、アンカーが心筋から外れる際の牽引力(引張強度)を計測した。レファレンスとして人工腱索を左室壁に縫合固定して引張強度を計測した。アンカーの引張強度は平均8.1Nであり、人工腱索の引張強度は平均7.5Nであった。デバイスアンカーは十分な固定力があることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
適切な実験モデルを作成し順調にデータ収集ができている。機能性僧帽弁閉鎖不全症の病変モデルにおいては重度逆流(逆流率50%以上)を作り出すことが困難であったが、逆流率42%とほぼ重度逆流に近いモデルを作成してデバイス弁葉の逆流制御機能を確認することがきた。
|
今後の研究の推進方策 |
左房固定部のモデルを3Dプリンターで制作して、ブタ心臓左房壁に固定のうえ引張試験を行う。その後左房固定部、左室固定アンカー、弁葉を組み合わせたプロトタイプを作成する。 デバイス弁葉の逆流制御機能評価に使用していた僧帽弁モデルは、箱状の左房・左室の間にブタ僧帽弁を置いたものであったが、今年度は実際の形状を模したシリコン製の左房・左室とブタ僧帽弁を組み合わせたモデルを開発作成して、プロトタイプの逆流制御機能を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が研究機関を移動したことに伴い、左房固定部のデザインに使用するパソコンと周辺機器を購入できず、次年度使用が生じた。次年度にパソコンと周辺機器を購入する予定である。
|